南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-26-序言 1994年,高血圧の原因の約10%が原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)であることが報告され1),治癒可能な高血圧としてPAが注目され始めた。その後シンチグラフィーやCTではPAの約半数でアルドステロン過剰分泌の原因副腎を特定できないことが明らかとなり2),現在ではPAの外科的治療の適応を決定する最も信頼性の高い検査法として,日本内分泌学会のガイドライン3)で副腎静脈サンプリング(adrenal venous sampling:AVS)が挙げられている。このような背景から当科においてもAVSの件数が増加しており,その現状を報告する。対象および方法 内分泌内科医により「高血圧治療ガイドライン2014」に基づいて精査が行われPAが疑われる患者で,手術希望がある場合に,片側の診断目的にAVSを施行している(図1)。術前のCTやMRIでの腫瘍の有無は考慮しない。 2010年4月から2016年8月の間に,内分泌内科医より49例のAVSが依頼され,検査が行われた。性別は男性16例,女性33例であり,平均年齢は58.0歳(28-78歳)であった。このうち1例はAVS中に副腎出血が疑われ,採血することなく検査を中止している。 AVSの手順は以下に示す通りである。① 右大腿静脈に7Fr,左大腿静脈に5Frのイントロデューサーを留置する。② 左大腿部より5Frの左副腎静脈用カテーテル(左副腎静脈用:Hanako Medical)を挿入し,左副腎中心静脈を選択する。③ 右大腿部より6.5Frの右副腎静脈用カテーテル(アドセレクト:Hanako Medical)を挿入し,右副腎中心静脈を選択する。④ 左右の副腎静脈用カテーテルと右大腿部イントロデューサーの3か所から5㎖の同時採血を行う。(図1)Localization of adrenal masses and treatment.3)

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