南予医学雑誌 第16巻
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桑原、他:Gitelman症候群の1例南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-91-【家族歴】腎疾患や血族結婚認めない。【入院時現症】身長 106.7cm(-1.7SD),体重16.8kg(-1.2SD),体温 38.3℃,心拍数 124回/分,呼吸数32回/分,血圧100/62 mmHg,頸部リンパ節腫脹数個認める。肝臓は1.5 cm触知,脾腫は認めない。咽頭発赤を認めた。【血液,尿検査所見】CRP 1.10 mg/㎗と軽度の炎症反応の上昇,LDH 577 IU/ℓと上昇を認めた。また,Na 130 mmol/ℓ,K 2.1 mmol/ℓと著明な低Na血症,低K血症を認めた。(表2)【入院後経過】持続する発熱と頚部リンパ節腫脹に関しては,化膿性リンパ節炎と診断し,抗生剤投与で改善を認めた。著明な低Na血症,低K血症には,Na 0.5 mEq/kg/時,K 0.17 mEq/kg/時で補正を開始したが,6時間後にはNa 129 mmol/ℓ,K 1.7mmol/ℓとさらに低下した。そのためNa 1.5 mEq/kg/時,K 0.32 mEq/kg/時へ増量して補正したところ,ようやく改善を認めた。しかし,入院4日目には,補正中でありながらもK値は3.1 mmol/ℓと低値であり,さらにMg値も1.6 mg/㎗と低値であった。また,レニン活性 2 ng/㎖/時,アルドステロン 55.6 pg/㎖と各々上昇を認め,尿中Ca/Cre 0.04と低値であったため尿細管機能異常を疑い,利尿剤負荷試験を行った。フロセミド負荷試験は,フロセミド1mg/kgを静注後,9時間蓄尿し,フロセミド投与前後でのFENa,FEClを比較した。結果は投与前FENa 1.2%,FECl 1.8%,投与後はFENa 1.9%,FECl 2.5%とFENa,FEClともに0.7%の上昇に留まり,低反応であった。また,ハイドロクロロサイアザイド負荷試験はColussiらの方法6)(表3)で行ったが,基準値のFECl 0.6%,負荷後最大値は1.6%であり,⊿FEClは1.0%であった。GSでは⊿FECl は2.3%未満となることが多いため,本症例はGSが疑われた。しかし,前述した表2入院時検査WBCT.Bil0.5mg/dlpH7.486200/μl<血算><生化学><血ガス>RBCHbHtAST44U/lALT18U/lLDH577IU/lpPCO233mmHgPO229mmHgHCO3-24mmol/l463×104/μl12.4g/dl34.5%HtPLTNEEOLDH577IU/lBUN7mg/dlCr0.27mg/dlTP78/dlHCO324mmol/lBE1mmol/l乳酸26mg/dl%29.2×104/μl70%0%EOBALYTP7.8g/dlNa130mmol/lK2.1mmol/l尿蛋白(-)<尿検査>0%0%26%3%MOCl91mmol/lCRP1.10mg/dlCPK185IU/l白球反応(-)尿潜血(-)尿糖(-)3%UA2.3mg/dlFe17μg/dlフェリチン3777ng/dl尿糖()アセトン(-)PH8.0尿比重1015フェリチン377.7ng/dl尿比重1.015(表2) 入院時検査

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