南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-89-   症例報告要   旨 症例は6歳男児。持続する発熱の精査加療目的で入院した際,低K,低Mg血症,低尿中Ca/Cr比,血漿レニン活性・血漿アルドステロン値の上昇を認め,遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症(Salt-losing tubulopathy:SLT)を疑った。利尿剤負荷試験の結果,サイアザイド投与後の反応は乏しかったが,ループ利尿剤投与後の反応も軽度であったため,Gitelman症候群(GS)もしくは3型Bartter症候群(BS)を鑑別に上げた。遺伝子解析の結果,SLC12A3にR642C,V677Mの複合ヘテロ接合体変異が検出され,GSと確定診断ができた。GSと3型BSの鑑別は,利尿剤負荷試験では困難であると言われており,その診断には遺伝子検査が必要であると再認識した。  (南予医誌 2015;16:89-95.)Key Words:‌Gitelman症候群,利尿剤負荷試験,遺伝性塩類喪失性尿細管機能異常症,遺伝子検査受稿日 平成27年7月21日受理日 平成27年9月1日連絡先 〒792-0042 愛媛県新居浜市本郷3丁目1-1 愛媛県立新居浜病院 小児科 桑原 優 3型Bartter症候群との鑑別に遺伝子解析が必要で あったGitelman症候群の1例 桑 原   優1)2),長 谷 幸 治1),岡 本 典 子1), 寺 岡 いづみ1),中 野 威 史1)3),林   正 俊1) 1)市立宇和島病院 小児科 2)愛媛県立新居浜病院 小児科 3)愛媛県立中央病院 小児科

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