南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-84-腰部に刺入したままの状態であった。他に右前胸部や右腹部,右肩甲部にも切創を認めた。意識はあるが顔面蒼白で血圧は測定できず,橈骨動脈も触知しなかった。搬入直後の血液検査では,WBC 11,800/μℓ,RBC 289万/μℓ,Hb 8.6mg/㎗,Ht 25.6%,PLT 24.3万/μℓと貧血を認めた。肝機能や腎機能,電解質,凝固能,血液ガスに大きな異常はなかった。肉眼的血尿も認めなかった。直ちに輸液ポンピング,輸血を行い,血圧が改善したところで造影CTを撮影した。包丁は検査前に抜去された。胸腹部造影CT 右腰部の包丁刺入創は右腸腰筋外側を通過して右腎下極に達していた。同部より造影剤の著明な血管外漏出を認め,右腎周囲~後腹膜腔にかけて多量に出血していた(図1)。右腸腰筋にも小さな出血点を認めた。緊急血管造影とTAE 包丁刺創による鋭的腎損傷(腎損傷分類20083)のⅢb型;複雑深在性損傷)と診断し,緊急で選択的右腎動脈塞栓術を行った。型どおり右大腿動脈に5Frシースを挿入し,右腎動脈にガイディングカテーテルを進めた。右腎動脈本幹からの造影で,下極分枝に複数の血管外漏出を認めた(図2)。責任動脈は3本あった。これらを2.4Frマイクロカテーテルで順次選択,コイルプッシャーを使用してマイクロコイル(Tornado, Cook社,ループ径3㎜及び4㎜)を合計9個留置し,止血に成功した(図3)。続いて造影CTで出血点を認めた右第4腰動脈を造影したところ,末梢に僅かな血管外漏出を認めた(非提示)。しかし,術後(図1)搬入時の造影CT右腎下極に著明な血管外漏出を認める。損傷は腎髄質深部に達し、実質の造影効果に離断が見られ、Ⅲb型の腎外傷である。右腸腰筋にも小さな出血点あり。(図2)右腎動脈造影右腎下極に複数の血管外漏出を認める。
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