南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-83-   症例報告要   旨 腰部刺創による鋭的腎損傷(Ⅲb型)に対して選択的腎動脈塞栓術を行い,救命し得た1例を報告する。症例は50歳台女性。右腰部を包丁で刺され当院に救急搬送された。造影CT検査で刺創は右腎に達しており,右腎下極より大量に出血していた。直ちに血管造影を実施,破綻した右腎動脈分枝をマイクロコイルで選択的に塞栓し,止血に成功した。経過は良好で受傷20日目に退院した。  (南予医誌 2015;16:83-88.)Key Words:鋭的腎損傷,刺創,TAE受稿日 平成27年6月19日受理日 平成27年8月13日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 放射線科 竹口  崇 TAEにて救命し得た腰部刺創による鋭的腎損傷の1例 竹 口   崇1),井 上 祐 馬1),岩 村 卓 明1), 福 井   聡1),石 田 直 樹2) 1)市立宇和島病院 放射線科 2)市立宇和島病院 心臓血管外科緒言 腎外傷の殆どは打撲や交通外傷による鈍的損傷であり,銃創や刺創等の鋭的損傷に遭遇する機会は少ない1,2)。我々は刺創による鋭的腎損傷に対し,緊急で経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embo-lization;以下,TAE)を行い止血救命し得たので,若干の文献的考察を加え報告する。症例 50歳台女性。既往歴,家族歴に特記すべき異常なし。右腰部を包丁で刺され,当院に救急搬送された。搬入時,包丁が右

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