南予医学雑誌 第16巻
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藤井、他:進行糖尿病腎症の栄養食事指導例南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-77-シロスタゾール100㎎2錠,ニフェジピン徐放錠20㎎2錠, 超速効型インスリン6単位毎食前,持効型インスリン19単位,沈降炭酸カルシウム3g,アルファカルシドールカプセル1μg【身体所見】身長160.0㎝,体重64.0㎏,BMI25㎏/㎡,IBW56.3㎏,血圧137/63㎜Hg,脈拍90/分,体温36.3℃.【血液生化学・尿検査所見】HbA1c 7.4%,1,5-AG 4.1μg/㎖,空腹時血糖値 144㎎/㎗,抗GAD抗体 4.5U/㎖,T-Cho243㎎/㎗,LDL-Cho88㎎/㎗,HDL-Cho148㎎/dL ,TG126㎎/㎗,Hb 11.4g/㎗,尿蛋白1g/日,Cr 2.29㎎/㎗,BUN 27㎎/㎗,eGFR23.0㎖/分/1.73㎡.【経 過】 2013年1月,糖尿病腎症は第4期であった。エネルギー1800kcal(32kcal/IBWkg),たんぱく質40g(0.7g/IBWkg),食塩6g未満の栄養食事指導を行った(表2)。初回の栄養食事指導は家庭での食事の聞き取り調査,糖尿病腎症病期の説明を行った(表1)。その上でたんぱく質の制限が必要であることを説明し,たんぱく質40g食について食品の組み合わせを指導した。 腎症4期の食事の注意点はたんぱく質の制限,エネルギーの確保,食塩の制限,カリウムの制限など多数存在するが,初めての栄養食事指導で多くの理解は望めず,逸脱の原因になることも考えられるため2回目以降に持ち越した。また,腎症を告知され精神的な衝撃を受けている患者にとって効果的な指導となるよう,患者心理の変化ステージと介入方法(表3)に則って指導をすることとした。 2回目は栄養食事指導に妻を同伴し,具体的な料理方法などの質問があった。また,料理をしない男性にも感覚的に理解しやすい食品構成パンフレットや写真入りの献立にて説明を行った。(図1,2)。指導前の食事は「ごはん(主食)を減らして,副食を多く取っている」「油物は制限している」「野菜をたくさん食べるよう努力している」など腎症には適さない食事内容であった。運動療法においても「テニスで激しく運動している」と回答しており,激しいほど効(図1)栄養食事指導媒体1:食品構成パンフレット分量(g)備考ごはん1501食は普通のご飯低たんぱくご飯180×22食は低タンパク質のご飯魚介類50肉類30卵50豆腐30ヨーグルト70牛乳1本はたんぱく質が多いのでヨーグルト1パックとする味噌10薄味の味噌汁芋類50ポテト1/2個程度緑黄色野菜100その他の野菜100果物100缶詰めを利用油脂40揚げ物や炒め物を多くする砂糖及び甘味料20甘みの少ない粉飴を利用するとエネルギーアップとなるたんぱく質調整食品適量でんぷん製品やMCT含有のビスケットやゼリーなど調味料醤油小さじ5杯までたんぱく質を多く含むおかずは少量にして食べ過ぎない野菜は少なめ、水にさらしたり、湯がいたりする(図1) 栄養食事指導媒体1 食品構成パンフレットあなたの1日の食品の組み合わせエネルギー1800kcal たんぱく質40g 食塩6g未満

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