南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-74-   症例報告要   旨 症例は72歳,男性。1984年に糖尿病を指摘されたがコンプライアンス不良であった。病状の進行を自覚し,当院を受診,糖尿病腎症第4期と診断され,初めて栄養食事指導を受けた。食事療法はエネルギー1800 kcal,たんぱく質40g,食塩6g未満とした。初回指導時,糖尿病の合併症で腎症を発症することを知り,精神的な衝撃を受け,早い時期に病期の知識を得ていなかったことを後悔する発言があった。そこで,患者心理の変化ステージに則った介入方法を採用し,外来で数回の指導を行い一定の効果を得た。患者は病識と治療意欲に欠けていたが,多職種からの支援で病識をつけ,食事療法にも積極性が増し,現在も透析の導入を免れている。また,糖尿病の病期の知識を初期の段階で指導することが重要であると考えられた。  (南予医誌 2015;16:74-82.)Key Words:糖尿病腎症病期分類,変化ステージ,栄養食事指導,たんぱく質制限食受稿日 平成27年6月10日受理日 平成27年10月2日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 食養科 藤井 文子  栄養食事指導において患者心理における変化ステージ別介入が有用であった進行糖尿病腎症の一例 藤 井 文 子1),山 崎   幸1),清 水 さゆり1), 薬師寺   桂1),杉 本 み き1),赤 松 貴 代1), 押 谷 弘 子1),岡 崎 真由美1),江 口   透2), 宮 内 省 蔵2) 1)市立宇和島病院 食養科 2)市立宇和島病院 内科

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