南予医学雑誌 第16巻
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永岡、他:胸部外傷後の続発性膿胸南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-69-(図2)胸部単純CT大量胸水と受動性無気肺を認めた16Frトロッカーカテーテルを挿入し,約1000㎖の血膿性胸水の排出を認めた。 胸水細菌培養は陰性であり, 胸水細胞診でも悪性細胞は認められなかった。 その後, 胸腔ドレナージの排液は少量で減少傾向にあったため経過観察していたが, 入院後4日目にCRP値15.1㎎/㎗と上昇が認められ, 38℃台の発熱も持続した。胸部造影CTを施行したところ右胸水及びそれに伴う無気肺は残存していた。 胸腔ドレナージ不良と判断, 既存のドレーンを抜去し, 新たに第5肋間より20Frトロッカーカテーテルを挿入した。またCeftriaxone (2.0g/日)で抗生剤治療開始した。その後はCRP値 7.62㎎/㎗と改善がみられたが, 全身倦怠感や呼吸困難の訴えが持続した。入院10日目の胸部CTにて被包化胸水を認めたため, 胸部外傷による遅発性血胸と続発性膿胸と診断(図3), ドレナージ不良と判断したため入院11日目に手術の方針となった。術中所見: 全身麻酔下, 左側臥位にて胸腔鏡下膿瘍腔掻爬術を行った。 右胸部に5㎜ portを2カ所設置し胸腔内を観察すると, 壁側胸膜と臓側胸膜は全面癒着していた。可及的に癒着を剥離し, フィブリン塊, 混濁した胸水を吸引した (図4)。なお、血胸の原因となった出血源は不明であった。 24Frチェストドレーンを留置し手術を終了した。術中胸水細菌培養を行ったが陰性であった。術後経過: 術後4日目に胸腔ドレーンを抜去し, 呼吸器症状や倦怠感改善したため術後6日目に退院した。 現在術後15か月経過し, 再発を認めず良好に経過している。

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