南予医学雑誌 第16巻
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眞田、他:小児の点滴ルート保護方法南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-65-があったと思われる。3群とも装着中の痛みはなく,苦痛は感じられなかった。また,クロスガーゼを当てることで仮に固定テープの隙間から水が浸水したとしても,クロスガーゼが水を吸収し静脈留置針周囲まで水が及ばないと考えられる。 装着に要した時間に関しては,A群(パーミロール®)に比べてB,C群はベルト装着の為,手技が簡単で時間が半分に短縮された。そのことが小児の恐怖心,不安を最小限にし,家族の協力も得られやすい状況にもなる。また繰り返し使えることで経済的にもよいと考える。なお,今回の対象は看護スタッフであったが,乳幼児の皮膚は角質層が薄く,皮表脂質量が少ないためにバリア機能が低く皮膚表面は容易に傷つきやすいと考えられる。 今回の検討では,パーミロール®より固定ベルト・黒ベルトの方が総合的に優れていると思われた(表1)。しかし,今後の課題は,皮膚への刺激が最小限になるように年齢,体型,活動性を考慮した患児毎の点滴ルート保護方法の選択が必要と考える。また,すべての看護師が適切な保護方法を選択し実践できるようにレベルアップすることで,患児や家族への不安を取り除き安心したシャワー浴を提供していきたい。Ⅵ.結  論 小児のシャワー浴時に用いる点滴保護方法として,パーミロール®,固定ベルト,黒ベルトを比較したところ,1 .防水はガーゼの濡れと水の重量ともに3群間に有意差はなかった。2 .皮膚への負担は固定ベルト,黒ベルトが少なかった。3 .固定ベルト,黒ベルトはパーミロール®より装着時間が短縮された。参考文献1)  柿内美和他:小児の点滴静脈注射の実際~固定方法~,小児看護,第32巻第3号P309~314,20092)  伊郷恵梨子他:PTCD挿入中の患者にシャワー浴を行うための被覆方法の検討,奈良県立医科大学付属病院葦,第38号P146~148,2007年12月3)  本間未葉他:シャワー浴時の効果的な点滴刺入部の防水方法の検討,第28回東京医科大学病院看護研究発表集,第1群1-1P5~8表1.〈3群の評価一覧〉 パーミロール® 固定ベルト 黒ベルト 防水 皮膚発赤 痛み 装着時間 ◎ × - × △ ◎ - ○ ○ ○ - ○ (表1)〈3群の評価一覧〉

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