南予医学雑誌 第16巻
66/118

南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-64- ⑶ 両上肢末梢部を下にし,肩側よりシャワー(温度40℃,強さ毎分2L)を上腕全体に2分間流し続けた。 ⑷ シャワー浴終了直後,前腕に巻いたクロスガーゼが吸収した水の重さを電子天秤イシダCB-Ⅲ1500を使用し計量した。 ⑸ シャワー浴後にクロスガーゼの濡れ,皮膚発赤,装着中の痛みを観察した。4.分析方法  ABC3群間のクラスカル・ワリス検定を用いた。5.倫理的配慮 本研究の実施にあたり,研究への参加は自由意志である事を伝え同意を得た。Ⅳ.結  果 シャワー浴後の観察では,クロスガーゼの濡れに関しては無作為に組み合わせた各群16名中A群2名,B群9名,C群5名で,各群間に有意差はなかった。また,クロスガーゼの湿潤はあったが末梢までの浸水はいずれもみられなかった。皮膚発赤に関してはA群12名,B群2名,C群5名で,A-B(P<0.01),A-C(P<0.05)間で有意差があった。装着中の痛みは各群とも1人もいなかった(図3)。 クロスガーゼが吸収した水の重さは,A群1.25g,B群1.8g,C群0.6gで各群間に有意差はなかった。 装着に要した時間は,A群48.1秒,B群20.55秒,C群21.7秒で,A-B間,A-C間で有意差を認めた(図4)。Ⅴ.考  察 A群(パーミロール®)は,皮膚との密着性が高まり,クロスガーゼの濡れがほとんどなかった。しかし,皮膚に直接貼付するため皮膚の発赤が多く,また除去時の皮膚への負担も大きかった。B群(固定ベルト)は,ゴム幅が7㎝と広いため装着圧迫部位が一部肘関節にかかり,ビニール袋にしわがより腕との隙間が生じたため,クロスガーゼの濡れが多かったが,吸水量は多くなく,末梢までの浸水もなかった。しかし,固定範囲が広いために圧迫が分散され,皮膚の発赤が少なかった。C群(黒ベルト)は,ゴム幅が3㎝であり,皮膚への密着が少ないがビニール袋と腕の隙間が生じなかったため,B群に比べて漏れと吸水量が少なかった。しかし,幅が狭いことにより圧迫部位が集中し,皮膚の発赤が生じた例212092055002468101214ガーゼの濡れ皮膚発赤装着中の痛みA群B群C群 n=16※P<0.01 ※※P<0.05 ※ ※※ (図3) 各群のシャワー後の観察48.120.5521.70102030405060A群B群C群秒※P<0.001 ※ ※ n=20(図4) 装着に要した時間(図3) 各群のシャワー後の観察(図4) 装着に要した時間

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る