南予医学雑誌 第16巻
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柳川、他:透析室看護師の震災避難訓練南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-59-リーダーの指示に従って離脱を行うので,自分の行動を迷うことはなく,全員がわかるという結果になったと考える。 この避難訓練の体験により,看護師は,透析中に離脱を行う方法について具体的な手技の確認が出来ていた。また,避難誘導までのスタッフ自身の行動がイメージできており,訓練の成果が見られた。しかし,訓練の時点で入院患者を含む35名の透析患者の平均年齢は78歳と高齢化してきており,そのうち独歩で避難できる患者は12名と約1/3しかいない状況のなか,残り2/3の担送・護送患者を1階から3階まで避難させるのは困難であり,物理的,人的に難しい面も見えてきた。今後は改善方法の検討を行うとともに緊急時の役割・配置を決め,同じ行動がとれるようにして,患者,スタッフ双方の不安の緩和,安全の確保に努めなくてはならない。 迅速で安全な避難ができるために繰り返し訓練は必須である。今後も引き続き避難訓練を行い評価し,そこから得た教訓を生かしながら災害対策に取り組んでいきたい。結論 今回,Ⅹ病院透析室看護師で避難訓練を実施し,訓練の前後における震災対応に関する認識の変化を観察したところ,1 .患者の避難については,訓練前より訓練後は離脱や優先順位がわかり自信がついていた。2 .リーダー・スタッフとしての行動は,訓練前は半数以上がわからなかったが,訓練後には,リーダーは不安が残ったものの,スタッフは全員がわかるようになっていた。3 .避難訓練に対する認識については,体験したことにより行動がイメージでき成果が認められた。謝辞 本研究にあたり,愛媛大学大学院乗松貞子教授にご指導頂き感謝申し上げます。参考文献1)  山口孝治:【災害発生!そのとき,あなたの職場の対応は?】災害発生時に役立つ災害救護訓練の企画. EMERGENCY CARE 2005; 18(8):745-755.      2)  新井修,今井恵美子,芝田房枝,他:透析中における災害時の対応 緊急離脱と避難訓練. 長野県透析研究会誌 2006; 29(1): 9-11.

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