南予医学雑誌 第16巻
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柳川、他:透析室看護師の震災避難訓練南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-51-(表1)避難訓練のシナリオ配役:総リーダー、Cリーダー、Bリーダー   患者C、患者D、看護師E,F,G,  <午後3:00緊急地震速報が流れた場合>アナウンスAリーダー「落ち着いて下さい。看護師の指示に従ってください」      「血液回路をしっかり握ってください。布団を頭からかぶり、ベッド柵を握ってください」(全員)  認知レベルの低い患者やパニックを起こしそうな患者には、揺れがおさまるまで看護師は付き添う。≪地震発生≫約30秒揺れが続く患者C   「地震や・うわぁ~」(患者は独歩とする)Aリーダー「落ち着いて下さい。看護師の指示に従ってください」≪地震はおさまり停電になる≫電気消す <地震対策本部が5分で立ち上がる>患者C   「停電になった。どうなるんよ。早くはずして」      *停電になるとコンソールは警報が鳴る。コンソールは自動的に一旦イーカムに切り替わり、その後自家発電に切り替わった段階で透析に戻る(その間約1分)(スタッフ全員)揺れがおさまったら患者のところへ行き患者の状況を確認する。コンソールの警報の停止を行う。      けがをしている患者を最優先に処置を行う。Aリーダー「大丈夫です。器械は自家発電で作動します。落ち着いて下さい。」患者D   「はよしてや」(患者は少し歩ける護送・車椅子)看護師G透析室内・器械倉庫の被害状況を確認、透析機器周辺や水周りを念入りに確認し被害状況を医師に報告      する。「水漏れはなく、警報も発生しておりません」総リーダー 透析室の被害状況・患者の被害状況・震源地・津波が来るか来ないかを確認し透析を継続するか、中止するか指示を出す。回収方法(緊急離脱・回収抜針)も決定し指示を出す。Aリーダー「震源地は○○沖です。震度6弱。津波警報約40分後に津波第1波到達の予定です。けが人はいません。停電の普及のめどはたっておりません。透析内では水漏れは起きていない状況です」総リーダー「緊急離脱を行いましょう」Aリーダー「直ちに緊急離脱を行います」スタッフ全員 緊急離脱を行う「針を残したまま器械を外します。安全が確保されるまでベッドにいてください。一人で勝手に動かないでください。      *コンソールのポンプカバーを開く。ポンプが停止したのを確認後、A,B回路をクランプし、回路と針の接続部をはずし離脱する。      離脱後患者に止血ベルトを手渡す。      看護師E→患者C 看護師F→患者Dの離脱を行うAリーダー 地震対策本部と連絡を取り状況を確認して避難誘導を発令する。      「2階の踊り場の窓ガラスが破損しているので靴を履いて、足元に注意して、階段を3階小会議室前まで上がってください。エレベーターは使えません。階段を上がってください。患者C   誘導に従って自力で避難してもらう。患者D   車椅子に乗車させて階段まで介助する。Bリーダー(避難誘導係) 避難袋を背負って先頭に立ち誘導を行う      「避難場所は3階小会議室前になっています。ガラスの破片に気を付けて履物を履いて避難してください」「エレベーターは使えません」患者D   階段を歩行できない場合は患者を背負い3階まで搬送する。患者誘導が終わり安全が確保できた場合は車椅子を取りに行き乗車させる。Aリーダー 患者の確認を行い総リーダーに報告する。      「患者2名避難完了しました。けがもなく異常ありません。」

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