南予医学雑誌 第16巻
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花山、他:上部消化管異物の臨床的検討南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-37-はじめに 実地医療の現場において,上部消化管の異物症例に遭遇する機会は稀ではない。大部分の症例に関しては内視鏡的に異物摘出が可能であるが,時に内視鏡的摘出困難な症例や重篤な合併症を併発する症例を経験することがある。今回我々は,当施設の内視鏡室において経験した上部消化管異物症例に関して,臨床的検討を行った。対象および方法 当施設において2007年1月より2014年12月までの8年間に施行した上部消化管内視鏡検査は43413件,緊急上部消化管内視鏡検査は1344件であった。そのうち上部消化管異物件数は,54件/1344件(4%)であった。 これらを対象として,患者背景,異物の種類,停留部位,合併症,異物摘出方法および予後について検討を行った。結果1)患者背景(表1) 症例数は54例であり,異物回数は単回が50例,複数回2例であった。性別には,男性38例,女性16例であり,平均年齢は62.9歳(0.9~88歳)であった。並存疾患は21例(38.9%)に認められ,内訳は,脳出血・脳梗塞後遺症および認知症6例,パーキンソン病1例であった。また,食道亜全摘術8例,食道癌3例,胃全摘術後2例,食道静脈瘤治療後1例を認めた。2)異物の種類,停留部位および合併症(表2) 異物の種類は,鋭的異物30例(55.6%)(義歯10,PTP7,魚骨7,かみそり3,画鋲1,ホチキス1,爪楊枝1),食物塊21例(38.9%),鈍的異物3例(5.6%)で表1.患者背景性 別 男性 38 女性 16年 齢 62.9歳(0.9- 88歳)異物回数 単回 50 複数回 2並存疾患(%) 21/54(38.9%) 脳出血・梗塞後遺症 4 認知症 2 パーキンソン病 1 食道全摘術後 8 食道癌 3 胃全摘術後 2 EVL治療後 1表2.異物の種類,停留部位,合併症 例(%) 種 類 鋭的異物 30 (55.6) 義歯 10 (18.5) かみそり 3 (5.6) PTP 7 (13.0) 魚骨 7 (13.0) 画鋲 1 (1.9) ホチキス 1 (1.9) 爪楊枝 1 (1.9) 食物塊 21 (38.9)鈍的異物 3 (5.6) 停留部位 食道 28 (51.9) 上部 8 (14.8) 中部 5 (9.3) 下部 15 (27.8) 胃 24 (44.4) 十二指腸 2 (3.7) 合併症気胸・膿胸(手術) 1 (1.9)
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