南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-1- 展 望 三つ子の魂百まで ~子育てについて思う~ 林 正 俊 市立宇和島病院 副院長 小児科 (南予医誌 2015;16:1- 5.)受稿日 平成27年6月5日受理日 平成27年8月7日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 小児科 林 正俊はじめに コミュニケーションのへたな子が増えているといわれる。確かに最近は元気に外で遊ぶ子供の姿を見なくなり,家の中でテレビゲームに長時間向き合う子供が増えていると聞く。少子高齢化の社会で家族の在り方は大きく変化した。大きな家に大家族で生活していた昔と違い,今は核家族化が進み,両親共働きで生計を営む家庭が多い。2013年に行われた就学前及び小学生を持つ宇和島市の3000世帯へのアンケート調査で,有効回答率67.2%の結果を得た。回答のあった2017世帯のうち,フルタイムで働く親は父が79.7%,母が40.2%,パートタイムで働く母は28.1%であった1)。 自閉症の増加 働くお母さんは忙しく,テレビやビデオが子守をする場合も少なくないという。こういった社会の変化の中で,自閉症の子供が増えている。狭義の自閉症は,子供1万人につき約3人の有病率であったが,1980年代後半から1万人に10~20人とする報告が増えてきた。これは米国精神医学会が刊行するDSM (Diagnostic and Statisti-cal Manual of Mental Disorders)の基準によって規定される自閉症の範囲が微妙に変化したことも大きく影響はしているが,2013年に出されたDSM-5によれば,ほぼ人口の1%の有病率であるという2)。これは昨今の診断基準の拡大や自閉症に対する認知度の高まり,研究方法の違いなどによる見かけ上の数値の上昇も含まれると考えられている。が,実際の有病率も増えているという実感がある。 ではそれはなぜか。子供自身が持つ疾病が原因の場合もあれば,子供が育つ環境が起因する場合もある。前者には遺伝的要素や周産期の異常,さらにその後の脳症など
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