南予医学雑誌 第16巻
20/118

南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-18-を1例目から順に並べたグラフを(図3)に示す。術者は3人であるが,白抜きが一番症例の多い術者である(第一術者)。徐々に時間の短縮が見られるが途中症例によりばらつきがみられる。15例目を過ぎたあたりで200分強に落ち着いてきた。28例目,30例目は拡大リンパ節郭清をしたため時間がかかっている。出血量を同様に(図4)に示した。前立腺全摘術では尿路が開放されるため尿量が出血量に含まれてしまう。尿が術野に出ると,前立腺後面の剥離,縫合の際視野の確保に難渋する。吸引で対処すると気腹圧が下がり出血量が増える傾向となる。そのため麻酔科と協議し状態の許す範囲で輸液量を減らし尿量をコントロールしている。初期は手術時間が長く尿量が増えたものと思われる。12例目以降は手術時間の短縮,麻酔科の慣れのため安定した出血量(尿量)となっている。初期は念のため自己血輸血400㎖を施行していたが,術中Hbの低下が軽微なため16例目以降は自己血貯血を中止した。術後結果を(表2)に示した。摘出重量は17~82g(中央値36g)で比較的大きな症例も含まれている。pT3が9例あり術前診断よりアップグレードしている。術後PSAは1例を除き生化学的に根治レベルとされる0.2ng/㎖未満に低下している。断端陽性症例は7例(23.3%)に認められた(表3)。1例を除きpT3の症例である。尖部陽性は1例のみで,無結紮法で尖部処理をしているため少ないものと思われた。pT3症例を(表4)にまとめた。9例中断端陽性は6例に認められたが,術後PSAは全例0.2ng/㎖未満まで低下した。尿禁制についてはまだ12カ月まで経過観察できた症例がいないため3カ月,6カ月の状態をまとめた(表5)。(表1)患者背景年齢 61~75歳(平均69.4)PSA  ng/mln4未満24以上10未満2210以上20未満420以上2Gleason Scoren3+383+4124+354+423+514+515+51cTn1c152a112b02c13a3D́Amico分類n低リスク8中リスク17高リスク5D́Amico分類(cTの評価が困難なため使用されている限局性前立腺癌の病期予測) 低リスク:PSA<10 and GS≦6 and T1-T2a 中リスク:PSA10.1-20.0 and/or GS7 and/orT2b 高リスク:PSA>20 or GS≧8 or T2c 

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る