南予医学雑誌 第16巻
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都能:なんよだより南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-109-され,レシピを用いた調理実習や試食会が開催された。勉強会は講義も行ったが,このように調理実習や試食会など参加型の勉強会を多く取り入れ,実際に見て触れて味合うことにより嚥下調整食に対する認識を統一できるよう取り組んだ。また,施設の取り組みを発表する機会も設けた。 当院は,「嚥下食地域連携勉強会」に多職種(管理栄養士・調理師・看護師)で継続して参加したことから,嚥下調整食を確立することができ,平成23年には金谷栄養研究所所長金谷節子先生提唱の「嚥下食ピラミッド」,平成25年には摂食嚥下リハビリテーション学会より示された「学会分類2013(食事・とろみ)」(図1)を導入した。嚥下調整食の確立は,急性期病院との食の地域連携を可能にした。しかし,摂食・嚥下機能が低下した全ての入院患者に,適切な段階の食事を提供するためには,院内のより多くの職種に嚥下調整食を周知する必要があった。 そこで,当院で一番多くの職種が集まるNST委員会で嚥下調整食の説明・試食を数回行い,嚥下調整食の必要性を理解してもらった。次に,摂食・嚥下機能が低下した全ての入院患者に,適切な段階の食事を提供する方法を検討し、摂食機能療法の体制を見直した。当院の摂食機能療法は,医師と看護師で行っていたが,そこにNST委員である歯科医師,管理栄養士,調理師の3職種を加え多職種参加型の体制に変更した。多職種参加型で取り組んだ摂食機能療法は,各職種の役割を明確に分担することで,該当患者を見落とすことなく,早期に介入できる体制を整えることができた。また,多職種で関わることは,患者の状態を多方面から把握できるため,現状にあった食事の提供を可能にするなど速やかな対応へと繋がった。 当院は,「嚥下食地域連携勉強会」に参日  程内  容参加施設数参加者数第1回平成21年4月嚥下食の試食会とアンケートの実施222第2回平成21年12月9日嚥下食の調理実習とアンケートの実施1533第3回平成22年2月17日嚥下食の調理実習と講演「嚥下困難者用食品」について2046第4回平成22年7月14日市立宇和島病院の嚥下食物性測定結果報告2938第5回平成22年9月2日市立宇和島病院の嚥下食レシピ配布と試食会1062第6回平成22年10月28日嚥下食の調理実習と嚥下困難者用食品試食会1964第7回平成23年2月4日嚥下食の調理実習とアンケート調査結果報告2575第8回平成23年6月8日嚥下食実践のための取り組み発表(3施設)2982第9回平成23年11月17日嚥下食導入の取り組み発表と情報提供2458第10回平成24年1月19日嚥下食の喫食温度調査、委託会社の取り組み発表2466第11回平成24年3月6日講演会「黒田留美子先生」安全で美味しい介護食について34134第12回平成24年5月29日嚥下食の試食会、講演会「松田裕子先生」半側空間無視って知っていますか?2099第13回平成24年9月26日講演会「岡野宗一郎先生」歯科医師からみる摂食・嚥下について26106第14回平成24年11月27日グループワーク1766第15回平成25年3月6日講演会「安原みずほ先生」松江地区嚥下食ピラミッドについて29112第16回平成25年9月4日講演会「清水義貴先生」摂食・嚥下障害看護認定看護師になって今思うこと30104第17回平成25年11月27日学会参加報告「嚥下調整食分類2013」について2479第18回平成26年4月17日市立宇和島病院の取り組み報告、講演・実習「歯科医師・歯科衛生士」2477第19回平成26年7月30日南愛媛病院の取り組み報告、講演・実習「歯科衛生士」24113表1 嚥下食地域連携勉強会表1 嚥下食地域連携勉強会

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