南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-108- 地域住民の高齢化に伴い,摂食・嚥下機能が低下した患者が増加している。当院では一般病棟入院患者の平均年齢は80歳を越えており,摂食・嚥下機能が低下した患者には,院内独自の嚥下調整食を提供してきた。しかし,医療の地域連携が進む中,患者は急性期病院から慢性期病院へ,また慢性期病院から施設や在宅へと入退院していくが,嚥下調整食は名称や段階が施設毎に設定されていることが多いため,前施設の食事内容を正確に把握することができない等,食の地域連携は十分ではなかった。当院においても,医師から情報提供書に書かれている糖尿病食などの治療食の名称は理解できるが,嚥下調整食については名称が施設によって違い内容を理解し難いため受稿日 平成27年5月7日受理日 平成27年5月7日連絡先 〒798-1393     愛媛県北宇和郡鬼北町永野市1607 旭川荘南愛媛病院・南愛媛療育センター             医務課 都能 綾子改善できないかと指摘を受けたことがあった。 そこで平成21年4月,宇和島地区の中心である市立宇和島病院と当院で「嚥下食地域連携勉強会」を立ち上げ,地域に向かって嚥下調整食と食の地域連携の必要性を発信してきた。 2施設で立ち上げた「嚥下食地域連携勉強会」は,近隣の施設に呼びかけ回を重ねるに従い,参加施設・職種・人数が徐々に増加し,今では参加施設(個人を含む)は30施設・職種は15職種・人数は100名を越えることもあり,遠くは東予からの参加もある(表1)。 勉強会を立ち上げた当初は,地域で嚥下調整食の名称統一ができればと思っていたが,第2回目に行ったアンケート調査より,同一職種においても嚥下調整食の知識の差が大きいことが分かり,まずは嚥下調整食を正しく理解するための勉強会から始めた。また,地域の中心である市立宇和島病院からは,業者による物性測定の結果を基に作成された嚥下調整食のレシピが配付  嚥下食地域連携勉強会がもたらした当院の成果と 今後の課題 都 能 綾 子 旭川荘南愛媛病院・南愛媛療育センター 医務課 管理栄養士   なんよだより

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