南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-104-スシートの紛失リスクを軽減することができるほか,パスデータの統計・分析が極めて容易になり,当院はもとより回復期病院においても「情報共有」のメリットが期待できます。 さらに,このシステムの利用医にアンケート調査(期間:2015年7月8日~17日,対象:登録医92名,方法:FAXによる記述回答(Q1~Q4),答率:52,2%)を実施したところ,以下のような結果となり,満足して利用してもらっていることを実感しています(図3)。 現在のところ,このシステムの成果は紹介・逆紹介率の向上などの数値に直接寄与するものではなく,診療報酬上のインセンティブもありませんが,「地域完結型医療」を目指す当院の役割の一環として,これからも発展させていく必要があると考えています。システム普及に向けた取り組み ネットワークの構築にあたっては,当院が単独でシステムを設置し,利用医はパソコンのほかにインターネット環境を整備すれば,無料で参加できる仕組みとしました。このイニシャルコスト無料化と既存の愛媛県医師会地域医療連携支援ネットワーク(希望する県医師会員にVPN装置を無償配布し,様々なコンテンツが利用できるもの)を足回りとして活用することで,利用医はこのネットワークへ容易に参加できるようになりました。また,地域連携室職員と情報管理室職員がペアとなり各施設を訪問し,パソコンのセットアップサポートからアフターフォローまで手厚く対応してきました。さらに要望があれば出張による説明会を開催するなど,医師以外のスタッフ(看護師・リハスタッフ・ソーシャルワーカー・事務員など)を対象に運用方法の提案を積極的に行うことで,システム利用率「きさいやネット」の運用実績(運用開始から7ヶ月)ネットワークのエリア(南予地域)●アクセス数●同意取得患者数1,044人4,824件病院:14診療所:23合計:37●利用医申請済医療機関数●⼆次医療圏人口:13万人⾼齢化率:約35%010020030040050060070080090010000501001502002505月6月7月8月9月10月11月きさいやネット利用状況患者同意件数参照件数(図2)きさいやネットの運用実績

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