南予医学雑誌 第16巻
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南予医誌 Vol.16 No. 1 2015-101-   なんよだより ICT(情報通信技術)を活用した地域医療連携 「きさいやネット」の取組み 中     一 市立宇和島病院 地域連携室はじめに 団塊の世代が75歳以上となる2025年を展望すれば,医療・福祉・保健分野に大きな影響を及ぼすことは明らかです。特に医療分野では急速な高齢化の進展,医療の高度化多様化,患者ニーズの変化,疾病構造の変化などにより,政府は「病院完結型医療」から「地域完結型医療」への転換を推進し,「地域連携」や「情報共有」がクローズアップされるようになってきました。このような政府の医療政策を背景に,地域医療連携体制を支えるシステムとして全国約200地域でICT(Information and Com-munication Technology; 情報通信技術)を活用した地域連携ネットワークシステムの取組みが行われました。しかし,その多くが地域医療再生基金を活用したもので,システム更新後の継続運用ができるか大きな課題があると言われています。こうした中,当院においても愛媛県医師会や宇和島医師会などと連携して,南予地域連携ネットワークシステム「きさいやネット」を構築し2015年5月から運用を開始しています。本稿ではその概要と課題,今後の展望について述べたいと思います。システム導入までの経緯 当院がある南予地域は,少子高齢化の進展,生活習慣病の増加,医療従事者の不足,急性期病床の一極集中,交通インフラの未整備など多くの課題に直面しています。こうした状況の中,地域の基幹病院である当院は,医療圏内の医療機関との役割分担を進めながら,「地域完結型医療」への転換を図っていくことが急務の課題となっています。     このような背景のもと,当院では今後の診療情報のICT化を見据え,利便性・拡張性の高い新たな地域連携ネットワークシス受稿日 平成27年10月2日受理日 平成27年10月2日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 地域連携室 中   一

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