南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-97-はじめに 2008年にストーマ外来を開設して以来6年で,ストーマ外来受診患者は総数約400人,延べ受診数約1000人に達した。ストーマ造設後も何の問題もなく生活を送れている患者は少数であり,患者にとってストーマ外来の評価は不可欠なものとなっている。 在院日数短縮ため,セルフケアが確立しないまま退院となった場合は,ストーマ外来で指導を継続することも少なくない。また,管理困難なストーマを造設された患者は,命を取り留めたことで束の間の安堵を得たとしても,日々,安定しない装具装着と苦闘し,心身共に追い込まれていくこともある。さらに,ストーマ自体の問題だけ  合併症を発症したストーマ造設患者に対するストーマ外来の有用性 中 村 久 美 市立宇和島病院 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師(南予医誌 2014; 15: 97-101.)  目でみる症例受稿日 平成26年6月9日受理日 平成26年9月1日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 看護部 中村 久美ではなく,認知症や全身状態の悪化に伴い自己管理ができなくなり,訪問看護の導入に至ったものなど,ストーマ外来の介入対象は多岐にわたる。そんな中で,専門的な知識を有した皮膚・排泄ケア認定看護師が,管理困難な症例に対応している。 今回の2症例は,手術後,本人や施設スタッフがストーマ管理を行っていた。1例目は,術後は本人が問題なく管理していたが,合併症により腹壁とストーマが大きく変化したケース,2例目は,術直後より問題があり,管理困難で何度もストーマ外来へ来院されたケースである。合併症に対する処置方法,本人やキーパーソンに対する教育方法などから専門外来の有用性を考えた。症例紹介 症例1 患 者:80歳代,男性 病 名:前立腺癌 経 過:201X年7月,前立腺癌浸潤による直腸狭窄のため,S状結腸双孔式人

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