南予医学雑誌 第15巻
96/132

南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-94-(表1) 小網原発GISTの報告例(報告順)年齢/性別主訴観察期間術前診断腫瘍径(cm)核分裂像/HPFMIB1index171F腹痛NR小網原発腫瘍171-3/50NR245M偶発NR胃GIST4.50/50NR352FNRNRNR11.5NR4.3%474FNRNRNR8.0NR<1%560F偶発9か月小網原発腫瘍32-3/501%645F偶発NR胃or小網原発腫瘍20NRNR768F腫瘤触知NR胃or小網原発腫瘍132-3/50NR881F偶発NR膵腫瘍15NRNR972F偶発NR胃GIST3NRNR1022M偶発NRNR3NRNR1181F悪心NR膵腫瘍142/10NR1275M偶発18年胃GIST93/50NR1378MNRNR胃GIST10NRNR1469F偶発6か月膵腫瘍610/50<10%1550M腹痛NR胃GIST142-3/50NR1640M偶発3か月腹腔内腫瘍10NRNR1769M偶発5年肝海綿状血管腫82/501%1861F⾃験例偶発8年腹腔内腫瘍40/507%N.D=not described(NR: not reported) (NR: not reported) 4びpub medを利用し「小網」「GIST」のキーワードで検索したところ自験例を含めて本邦で18例の報告があり,その一覧を(表1)に示す5~10)。 それらの文献をまとめると性差はなく,平均61.8歳,腫瘍発見の契機は無症状のものが多く,他病精査中の画像や検診で腫瘤影を指摘され発見されたものがほとんどであった。術前診断で,小網腫瘍(疑い例も含む)とされた症例は4例のみであり,大部分は胃GISTや膵腫瘍と術前診断されていた。解剖学的に内視鏡やCT画像診断の限界があり,診断に苦慮する例が多いと考えられた。自験例も近接臓器とのつながりは否定的であったが小網腫瘍の診断には至らず,腹腔内腫瘍として手術施行となった。腫瘍径は10㎝以上の症例が半数以上であり,小網GISTは消化管原発に比べて自覚症状に乏しく,結果として腫瘍がかなり増大した状態で発見されていると考えられる。 核分裂像およびMIB1 indexによる病理学的リスク評価では,低リスクなものが約80%で,高リスクなものは認めず,腫瘍の大きさに比して組織学上の悪性度と乖離があり,消化管原発のものと比べて生物学的悪性度が異なる可能性がある。 巨大な病変となり診断されることが多い小網原発GISTは,診断時に手術を施行した報告が多い中,自験例は本人の希望もあ

元のページ  ../index.html#96

このブックを見る