南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-92-(図4) 切除標本の肉眼所見腫瘍は最大径約4cmの充実性腫瘍で,胃小弯側にあり,小網からすぐに透見でき,胃や膵臓との連続性は認められなかった。ナーゼ受容体の一種で,c-kit遺伝子の突然変異で機能異常をきたす)陽性を示すCajalの介在細胞様細胞が存在しGISTが発生すると考えられている1)。 GISTの自覚症状としては,腹部膨満感や通過障害,消化管出血や貧血症状,腫瘤の触知などが挙げられるが,特異的症状はない。さらに,小網原発GISTでは特に自覚症状に乏しいことが多く,実臨床では消化管内視鏡検査で粘膜下腫瘍や壁外圧迫が疑われる場合やCT・MRI検査で血流が豊富な腹部腫瘤を認め診断の契機となる場合が多い。 確定診断は病理学的検討に委ねられる。消化管GISTの場合,2㎝以上の腫瘍径であれば超音波内視鏡下針生検(以下EUS-FNA)は確定診断に有用とされている。自験例では壁外にあると判断し,EUS-FNAは施行しなかった。また,GIST診療ガイドラインによると2),2~5㎝の腫瘍径を

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