南予医学雑誌 第15巻
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橋本、他:小網原発GISTの1例南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-91-(図3) 経過観察中の腹部造影CT検査(a)1年6ヶ月後 胃,肝臓,膵臓に近接した,辺縁明瞭・内部均一低吸収で造影効果のない20㎜大の腫瘤影を認める。(b)8年後    腫瘍の内部は不均一に淡く造影され,腫瘍径が約43㎜にまで増大していた。abき,胃や膵臓との連続性は認めなかった為,術中所見で小網原発腫瘍と診断した。(図4)。病理所見では,紡錘形細胞が束状・錯綜性に配列し増殖しており,免疫染色でCD117陽性,CD34陽性,S-100陰性,α-SMA陰性,MIB-1(Ki-67)index (細胞周期関連蛋白の陽性率を表し,増殖能の指標となる)7%であり,low gradeの小網原発GISTと最終診断された(図5)。 術後経過:術後経過は良好で術後2年間経過観察されているが,現在のところ再発はない。考   察 GISTは約70%が胃に発生し,小腸に20~30%,結腸(ほとんど直腸)に5%以下で発生すると言われており,大部分は消化管由来である。一方,極めて稀に大網,小網および腹膜由来の消化管外GISTの報告がある。発生母地にはKIT(チロシンキ

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