南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-88- 小網原発GISTの1例 橋 本   悠,岡 本 傳 男,花 山 雅 一, 行 本   敦,小 幡 善 保,谷 平 哲 哉, 竹 下 英 次,清 家 裕 貴,市 川 幹 郎 市立宇和島病院 消化器内科受稿日 平成26年5月26日受理日 平成26年8月13日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 消化器内科 橋本 悠要   旨 我々は,極めて稀少な小網原発GIST(Gastrointestinal stromal tumor)の1例を経験した。症例は61歳女性。腹部造影CT検査で,胃,肝臓および膵臓に近接し,辺縁明瞭・内部均一低吸収で造影効果のない20㎜の腫瘤を認めた。何らかの腹腔内腫瘍やリンパ節腫脹を考え,確定診断も兼ねて摘出手術を勧めたが同意を得られず経過観察となった。腹部超音波検査を中心に6ヶ月毎に経過観察したところ,8年後に腫瘤径が43mmまで増大し,本人の同意を得て外科的切除術施行となった。病理結果では,CD117およびCD34陽性,S-100陰性,αSMA陰性,MIB-1 index7%でlow gradeの小網原発GISTであった。小網原発GISTは非常にまれな病変であり,しかも長期に経過観察された症例はほとんどなく貴重な症例と考えられた。 (南予医誌 2014; 15: 88-96.)Key Words:小網原発,GIST序   言 GIST(Gastrointestinal stromal tumor;消化管間質腫瘍)は消化管から発生することがほとんどであるが,稀に消化管外原発GISTも報告されている。今回,我々は長期間経過観察を行った小網原発GISTの1例を経験したので報告する。   症例報告

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