中橋、他:UAEを行った子宮仮性動脈瘤例南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-85- 子宮内操作よりの発症時期については,本症例は流産手術後約一週間で発症したが,数年後に発症した報告もあり,大量性器出血の一因として念頭に置くべき疾患である。 仮性動脈瘤の初期診断には外来で行える経膣カラードプラーが有用であり,低エコーの嚢胞像内に拍動のある血流が認められる。また3D-CT・MRIも有用であり,早期より強く造影される結節様構造が認められる1)~11)。 治療としては,子宮摘出術・子宮動脈結紮術も考慮されるが,近年はその低侵襲性によりUAEが選択される事が多いようである。 UAEは1979年にBrownらにより産褥出血に対して初めて行われた13)が,現在では産褥出血・子宮筋腫・頚管妊娠・止血困難な子宮腫瘍よりの出血などにも応用されている13)~16)。 UAEの合併症としては,術後の高度な(図3) 骨盤内血管造影検査左側子宮動脈よりの血液供給による強い濃染部位(左図矢印)を認め、仮性動脈瘤と診断した。UAE後濃染部位の消失を確認した(右図矢印)。疼痛・発熱・感染・穿刺部血腫などがあるが,子宮筋腫に対するUAE後の妊孕性に関しては,自然流産26.5%(15~18)・早産30%(5~10)・帝王切開率61%(22)・胎位異常19%(5)・産褥異常出血11%(4~6) ( ( )内は一般妊娠に於ける発生率)など,妊娠合併症のリスク上昇が指摘されている13),16)。 その原因としては,塞栓物質による正常子宮内膜や筋層への影響が考えられており,UAE後の妊娠には注意を要する。 また塞栓による卵巣血流低下に伴う卵巣機能低下も危惧されるが,UAE後ほぼ100%正常月経周期が回復するとされており13),本症例においても正常月経の再開がみられ問題ないものと思われる。 以上のように,緊急処置として救命を目的に行う治療ではあるが,挙児希望症例に対しては妊孕性低下・妊娠合併症についても説明が必要と思われる。
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