南予医学雑誌 第15巻
86/132

南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-84-あるため子宮温存目的にて,入院翌日にUAEを行う事とした。骨盤内血管撮影にて,左側子宮動脈より血液供給を受ける,強い濃染部位を認め仮性動脈瘤と診断された。左側子宮動脈よりジェルパートを注入し血流の途絶を確認した(図3)。左側UAE後,右側子宮動脈よりの病変は確認されなかったが,吻合枝を介して血流再開する可能性を考慮し,右子宮動脈も同様にUAEを施行した。治療後は腹痛を訴えたが,NSAIDs,ペンタゾシンにて対応可能であった。 その後,性器出血は極少量となり,エコーにても子宮頚部嚢胞性病変は消失したため,治療2日後に退院した。 その後も少量性器出血は持続し,尿中HCG陽性も持続した。骨盤内出血は認めなかったが,前医での流産手術時の絨毛確認が出来ておらず,子宮外妊娠も考慮にいれ経過観察したところ,流産手術後約2カ月で尿中HCGが消失した。UAE後4カ月で月経が再開し,子宮内膜厚は通常厚であり子宮血流は良好であると推察された。考   察 仮性動脈瘤は,動脈壁の一部が不完全に破綻し血管が嚢状に拡張したものであり,血管壁構造を有する真性動脈瘤とは区別される。 子宮仮性動脈瘤は,主に帝王切開術後1~4)や子宮内容除去術後5~8)・筋腫核出後9)に発生しているが,正常経膣分娩後の症例10,11)も報告されている。少量の出血を契機として発見されることもあるが,ショックを来たす程の大量出血を来たして診断される症例もある。(図2) MRIダイナミック3D T1強調画像(矢状断)子宮頚部に早期より強く造影される結節様構造を認め、仮性動脈瘤が疑われた(矢印)。

元のページ  ../index.html#86

このブックを見る