南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-78-液検査にてWBC 5500/μℓ (Ne 28%), CRP 0.73mg/dℓとほぼ陰性化していた。21日頭部MRIにて炎症所見を評価したところ,左眼窩内側の脂肪織にわずかな信号変化を認める程度に(図4矢印部)ほぼ消失していた。左篩骨洞炎についてはまだ残存していた。同日の眼科再診でも眼球運動は正常範囲に回復しているとの評価であった。 22日MEPM投与終了し,24日血液検査でWBC 6100/μℓ (Ne 25%), CRP 0.14mg/dℓと炎症反応が増悪ないことを確認し,ABPC/SBTを投与終了した。MEPM,ABPC/SBT投与終了後も症状の再燃がないことを確認し,27日退院した。 退院後,CAMは15mg/kgで続けていたが,31日耳鼻科を再診し,副鼻腔Xp(Wa-ters)にて両側副鼻腔の含気が改善していることを確認したため,CAM 5mg/㎏に減量し,以降1ヶ月内服の方針とした。また,眼科で改めて視力検査を施行したが,退院後も視力低下は認めなかった。考   察 眼窩内は血流が豊富であるため,一旦眼窩内に炎症が波及すると炎症は急激に拡大する。副鼻腔炎から炎症が波及することが多く,その理由としては,①眼窩の鼻腔壁(篩骨洞)は,非常に薄い紙状板で隔てられている,②副鼻腔からの血流には弁機構が欠如しており,細菌が逆行性に眼窩へ移行しやすい,③下眼窩裂は結合織でしか覆われていない,などの解剖学的特徴があげられている1)。小児の眼窩は狭く,眼窩周囲に蜂窩織炎を呈した場合は既に眼窩内に(図4)  頭部単純MRI(水平断):左眼窩内の軽度の炎症変化。左篩骨洞の炎症は残存。左右

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