南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-6-法のみで生存期間の延長を得るのが難しく,標準治療が存在しなかった。無症状の症例に対して無治療経過観察を選択する場合もみられた。しかし,これらは抗CD20モノクローナル抗体のリツキシマブ登場前のエビデンスであり,リツキシマブにより生存期間の延長が得られると報告されてから,進行期(stage Ⅲ,Ⅳ)の症例に早期からの治療開始も選択肢の一つとされるようになった16)。しかし,リツキシマブの有用性が認められたものの,どの化学療法と組み合わせるのが適切であるかについては,定まった見解が無い。現時点ではリツキシマブにCHOP(シクロフォスファミド,アドリアマイシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)療法やCVP (シクロフォスファミド,ビンクリスチン,プレドニゾロン)療法を組み合わせるのが一般的である。化学療法の適応が無い症例にリツキシマブ単剤が選択される場合もある。ただし,無症状の症例に対して従来の無治療経過観察が完全に否定された訳ではなく,症例に応じた適切な治療選択が必要である。 また,PRIMA(Primary Rituximab and Maintenance)試験でリツキシマブを含む化学療法を行い部分寛解以上が得られた初発進行期濾胞性リンパ腫患者に対して,2年間のリツキシマブ維持療法を行うことで無増悪生存期間の延長が得られたと報告された17)。一方,そのPRIMA試験に登録された患者を解析したところ,化学療法後にPET-CT検査で完全寛解と判断された症例にリツキシマブ維持療法を行っても無増悪生存期間が延長しないと報告された18)。以上より,一部の症例に対して有望な治療法になる可能性があるが(リツキシマブ維持療法は2014年1月現在保険未承認),さらなる予後改善を目指すにはより寛解率の高い導入療法の開発が必要と考えられる。 一方,更なる治療成績の向上のため,(図3) 低悪性度B細胞性リンパ腫に対する治療法の変遷

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