南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-74-11200/μℓ, CRP > 7.0mg/dℓと炎症反応が高値であったため,同日当科を紹介され,受診し,精査加療のため入院した。 【既往歴】 4か月:RSウイルス感染症 【入院時現症】  BT 37.7℃, SpO2 99%(room air), HR 163/min  左眼:周囲の腫脹と発赤あり,腫脹のため開眼困難。眼球充血なし。  眼球の内転障害あり(左眼球の内方視が不可能)。  右眼:特記所見なし。 咽頭:発赤なし。 心音:純,整。 肺音:清。 腹部:平坦,軟。 【入院時検査所見】  白血球数の増多及びCRP上昇を認め,高度の炎症反応が認められた(表1)。 【入院時頭部造影CT所見】(図1a,b)  両側副鼻腔内及び左眼窩内に濃度上昇域を認めた。  左眼窩内の濃度上昇域は,一部ring en-hancementを伴っていた。  形状から骨膜下膿瘍を伴っていると診断された。 【培 養】 咽頭:normal ora 1+ (AZM内服後)(表1) 入院時血液検査血液検査WBC 14400/μℓ(Stab 6%, Seg60%, Eo0%, Ba 0%, Ly 25%), RBC 4.68万/μℓ,Hb12.0g/dℓ, Ht35.4%, Plt45.7万/μℓ, AST 30U/ℓ, ALT 17U/ℓ, LDH 223IU/ℓ,BUN 9mg/dℓ, Cr 0.24mg/dℓ, T.P 7.4g/dℓ, Na 143mmol/ℓ, K 4.5mmol/ℓ,Cl102mmol/ℓ, CRP 11.32mg/dℓ序 言 小児では眼窩蜂窩織炎は副鼻腔炎から進展する場合が多い。抗生剤投与を基本としつつも,抗生剤治療に反応が乏しい場合や,視力障害・眼球運動障害を認めるもの,膿瘍を形成したものについては外科的治療も必要となる。今回,副鼻腔炎から眼窩蜂窩織炎をきたし,骨膜下膿瘍を合併した一例を経験した。眼窩蜂窩織炎では重篤な合併症を起こしうるため,しっかりとした抗生剤治療を行いつつ,臨床経過や画像検査などで治療効果を判定する。効果が乏しい場合には外科的治療の要否をすみやかに判断しなければならない。今回の症例を通して外科的治療の適応を考察する。症   例 【症 例】3歳 男児 【主 訴】 発熱,膿性鼻漏,左眼周囲の発赤・腫脹 【現病歴】  2014年1月11日 夕方より鼻漏及び40.0℃の発熱を認めた。12日に左眼周囲の腫脹・発赤を認め,近医小児科を受診した。AZMを処方され,その後発熱は37~38℃台で推移し,左眼周囲の腫脹も改善傾向であった。15日に同医を再診し,血液検査が行なわれた。WBC

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