南予医学雑誌 第15巻
71/132

杉本、他:糖尿病腎症患者への食事指導南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-69-(図2)指導媒体例1療の強化や冠動脈バイパス手術を行い,その際に3回目の栄養食事指導を行った。冠動脈バイパス術前に行われる周術期口腔ケアにおいて,口腔内の清掃状態が不良との指摘があり(残根歯多数あり,食渣+),術後に残根部のブラッシング指導と義歯調整を行った。増殖前網膜症に関して,網膜光凝固術を施行した。 体重の変化は,内科外来初診時(2013年3月)は66.0 ㎏であった。浮腫により入院時(同年10月)は78.5 ㎏に増加していた。たんぱく質制限及び塩分制限による食事療法と血糖コントロールにより退院時(同年12月)は62.6 ㎏になり,約2ヶ月で15.9 ㎏減量した。また,HbA1cは,泌尿器科外来初診時(2013年2月)は8.3 %であったが,入院前(同年10月)には8.0 %となり,退院前(同年12月)には7.0 %と改善した。その後の外来加療で6 %台にて推移している(図3)。【退院後の経過】 退院後は外来で栄養食事指導を継続しているが,患者の行動変容と食生活の改善がみられている。指導時には,食事に対するこだわりがあったため,患者の考えを尊重して指導を行った(表3)。食事療法に対するコンプライアンスの低下を防止するため,正しい食習慣が定着するまで継続的な介入が必要であると考えている。考   察 無治療の糖尿病,慢性腎不全(糖尿病腎症第3期)の症例に対する栄養食事指導を行った。独居・無職・自炊拒否の男性で,退院後の継続した食事療法が困難であると考えられた。しかし,生活環境を考慮し,継続可能な改善策を考え,薬物治療と同時

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る