南予医学雑誌 第15巻
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年森、他:慢性膵炎合併1型糖尿病南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-53-(図3) 入院後経過(第3日以降) 空腹時低血糖と食後高血糖あり。上部の積み上げ面グラフの通り、インスリン量を調節したところ、超速効型インスリンを朝食直前4U,昼食直前4U,持効型インスリンを就寝前3Uの投与にて安定した。   入院後は生理食塩水を1000 mL/時間で投与開始,速効型インスリン5 U(0.1 U/kg)をボーラス投与し,2 U/時間で持続投与を開始した。輸液投与速度は初期2時間1000 mL/時間,その後250 mL/時間,100 mL/時間と減量した。適宜ブドウ糖含有輸液製剤への変更やK補充を行った。翌朝,血糖の低下を確認し,速効型インスリンの持続投与を中止した(図2)。経口摂取開始と同時に,朝昼夕食直前に2U皮下注射で開始した。血糖変動は大きく,空腹時に低血糖,食後に高血糖を認めた(図3)。空腹時血清IRI 0.2 μIU/mL未満,食後2時間の血清IRI 0.2 μIU/mL未満,空腹時血清CPR 0.1 ng/mL,食後2時間の血清CPR 0.2 ng/mLであり,インスリン基礎分泌と追加分泌はいずれも低下していた(表2)。超速効型インスリンを朝食直前4U,昼食直前4U,持効型インスリンを就寝前3Uの投与を行った。血糖値は150 mg/dLから200 mg/dL程度で推移し病状安定したため,退院した。

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