南予医学雑誌 第15巻
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年森、他:慢性膵炎合併1型糖尿病南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-51-(表1) 入院時検査所見 【症 例】51歳男性 【主 訴】視力低下,全身倦怠感,口渇 【現病歴】2012年末頃より四肢脱力,2013年3月頃に眼のかすみを自覚していた。徐々に筋力低下,視力低下が進行した。同年9月19日に当院眼科を受診し,白内障を指摘された。9月26日頃より,倦怠感,口渇感が出現した。10月3日に眼科を再診した際,血液検査でHbA1c 15.9 %,血糖値 819 mg/dLを指摘され,当科紹介,精査加療目的で即日入院とした。 【既往歴】32歳:十二指腸潰瘍,49歳:粉瘤腫摘出(胸,背,足の3か所) 【家族歴】父:心筋梗塞,母:子宮癌(詳細不明) 【生活歴】飲酒:焼酎グラス10杯/日 31年間,喫煙:20本/日。経済的理由で食事をあまり取らずに飲酒をしていた。 【アレルギー歴】特記事項なし 【薬剤歴】特記事項なし  【身体所見】身長 166㎝,体重 46㎏,BMI 16.7 kg/㎡,体温 36.3℃,血圧 106/64 ㎜Hg,脈拍 63 /分・整,呼吸数 16 /分,SpO2 98 %。眼球結膜黄染なし,眼瞼結膜貧血なし,舌乾燥なし,甲状腺触知せず,心雑音なし,正常肺胞呼吸音,腹部は膨隆・軟・圧痛なし・腸蠕動音減弱,両側下腿浮腫あり 【入院後経過】   紹介時の血液検査でHbA1c 15.9 %,血糖値 819 mg/dLと著明な高血糖を認め,自覚症状として全身倦怠感,脱力感があった。意識障害,血圧低下はなかった。入院時の血液検査は血清IRI 1.3 μIU/mL,血清CPR 0.4 ng/mLとインスリン分泌の低下を認めた。また,抗GAD抗体 2.4 U/mLと陽性であり,1型糖尿病と診断した(表1)。血中総ケトン体 83 μmol/L,尿中ケトン体 陰性,pH 7.47

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