南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-46-再開後の集中治療といった「救命の連鎖」に関して,スタッフの教育が必須である。また,救命を支える医療連携システムづくりが重要である6)7)。  そして,心肺蘇生法に関する研修を通じて心肺蘇生の一連の流れをすべての職員が理解し,実施できるようになることが望まれる。同時に,AEDを用いた除細動が本来医師しか許されていない「医療行為」であり,国の方針として事前の講習を義務付けている以上,病院が医師以外の職員に院外での講習会受講を奨めたり,院内で講習会を開催することが必要となる。 当院では2007年6月,急変患者への対応が問題とされた事例があり,救急委員会(現救急・災害対策委員会)において,院内職員への蘇生対応能力向上を目的とした一次救命処置講習会を計画した。その目標としては,院内「全職員」においてAED使用が可能となるよう,国の方針にかなうAED使用訓練を含む一次救命処置講習会を実施し,最終的に「全職員」に受講して貰うことを掲げた。病院勤務者のための一次救命処置講習会としてどのような要件があるかは明らかでないが,少なくとも一般市民向け講習と同様に,AED使用を含む,シミュレーション訓練入りの180分の講習会を実施すれば,病院職員のAED受講に関する条件を満たすと判断された。その指導体制についても,受講者6人に1人以上の指導者(日本救急医学会インストラクターなど)を確保し,自習キットによる事前学習,同キットを用いて全員同時に通報,胸骨圧迫,AED使用などを繰り返し実施するなど,濃密なプログラムを工夫した(図5)。 10回の講習会を終了した段階で,当院の(図5) 受講風景左上)意識の確認右上)胸骨圧迫を5サイクル左下)AEDを安全に使用右下)各班で受講者が役割を交代しながら、チームでの蘇生を体験

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