南予医学雑誌 第15巻
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清村、他:当院における全腹腔鏡下子宮全摘術南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-39-(表2) 当科におけるTLHの適応基準手術の適応でないと判断したための術式変更であった。尿管損傷, 膣断端離開(TLH 1.14% vs ATH 0.10%)3)といったTLHに比較的起こりやすいとされる合併症はなかった。考   察 当科では, 年間40から50例の子宮摘出術が行なわれているが, LAVHの導入により開腹手術が減少, TLHの導入によりLAVHが減少し, より侵襲の少ない術式に順次移行している。腹腔鏡下手術は, 出血量はさほど変わらないが, 摘出子宮は小さくなり, 手術時間は延長する傾向にある。いずれの術式でも重篤な合併症の発生はなかった。しかし, TLHは適応基準(表2)を遵守し施行されているため, 摘出難度の高い症例はLAVHやATHが施行されており, 単純に比較することはできない。 適応基準の子宮の大きさについては, 超手拳大, 推定子宮重量4)500gを一つの目安としており, これを超えると視野の確保が急に難しくなる印象である。しかし, 術者の技術向上とともに克服される問題でもあるので, いずれは一律の基準を設けない予定である。高度肥満(BMI>30)は, 合併症の発生に差はないものの, 手術時間は延長し出血量の多くなることが言われており5), 原則適応外としている。開腹手術の既往がある場合には, 癒着が予想されることや腹腔鏡下手術で作成するポートの位置と既往手術の術創とが異なるため美容的メリットなく除外としているが, 手技的には可能なことが多いので, 他の基準を満たせば適応とする場合もある。頸部筋腫がある場合には, 解剖学的偏倚を伴う事が多く, 尿管, 子宮動脈の同定, 基靭帯処理に困難を要するため適応外としているが, これも術者の技術向上とともに適応が拡大されると思われる。 尿管損傷はパワーソースの使用による熱損傷がひとつの原因と考えられている6)が, 膣壁切開には組織障害の少ない超音波凝固切開装置(ソノサージ)やモノポーラーのピュアカットを用い, またKoh Cup使用により尿管との距離を十分確保する5)ことなどの工夫で防げていると思われる。 膣断端離開は, 膣断端の熱損傷による創傷治癒の遅れ, 拡大視野による膣断端縫合の縫いしろの誤認が大きな理由と考えるが, 局所感染, 性交渉, 喫煙, 骨盤性器脱, 膣血腫, 放射線治療, 閉経後, 肥満, 咳, 便秘, 低栄養, 糖尿病などが危険因子と言われている3)。とくに初回性交渉が誘因となっていることが多い。当科では経過が良好であれ

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