南予医学雑誌 第15巻
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松平、他:RCSを用いた服薬管理南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-31-なかったが,薬の個数を覚えている患者は多かった。このことから,何の薬かは理解していないが,薬袋に表示されている時間と個数をみて服用していることが分かった。Ⅳ.考  察 佐々木3)は,「判断と指導が不十分なままの自己管理は,患者への不都合を生じるのはもちろんのこと,業務の煩雑化にもなる。服薬する患者の状況を十分理解し,個々に応じた服薬指導と援助を行っていく必要がある。」と述べている。退院後は患者自身が管理しなければならないケースが多いため,患者の理解能力に合った方法で開始し,段階的に管理方法を変更していくことは有効だった4)。今まで,服用後破棄していた空シートを残してもらい,看護師がチェックすることで,間違いなく内服でき,スムーズに自己管理へと移行出来たのではないかと考える。また,服薬の飲み忘れ,飲み間違いが無かったことは,服用後の空シートを確認したことが有用であった。 自己管理への移行時には,薬剤師より時間をかけて服薬指導を行ってもらうことで,患者の服薬に対する不安や疑問が軽減でき,服薬コンプライアンスの維持につなげることができたと考えられた。入院中は薬の中止,変更が多く一包化することが難しいため,内服量の安定した退院時に,一包化にすることをルーチンにしていきたい。 今回,1回目のRCSが9点以上と初めから自己管理可能な患者が多く,点数が低く看護師管理から段階的に管理方法を変更した患者はいなかったが,患者の希望で看護師管理から開始したJ氏・K氏・L氏のケースは,問題無く自己管理へと移行出来た。 RCSを用いた服薬管理方法の選択は有用であったが,RCSの判定には10分程度の時間がかかるため,今後,繁雑な業務の中で継続していくために,入院時または自己管理移行時に限定して使用していくことを検討していきたい。また,RCSの点数が低い患者,軽い認知症のある患者も家族を含めて指導を行っていくようにしたい。Ⅴ.結  論 RCS9点以上の患者は服薬確認をすることで確実に内服出来た。参考文献1)  本浦良子,小松知世,中村みづき:高齢者を対象とした服薬指導方法を確立するための服薬指導アルゴリズムの作成.日本看護学会論文集:老年看護 2008; 38: 268-270.2)  山尾奈緒美,作田憲一,前田千佳子,他:内服自己管理者の残薬に関する実態調査.日本看護学会論文集:成人看護Ⅱ 2005; 36: 243-245.3)  佐々木久美子:【看護ケアにおける予薬リスクのマネジメント】予薬事故のパターンとその対応 患者の服薬ミス防止のマネジメント.ナーシング 2003; 23(12): 76-81.4)  藤村佳奈子,三浦いずみ,大田和美,他:高齢者の内服薬自己管理能力向上に向けての取り組み.日本看護学会論文集:老年看護 2005; 35: 64-66.

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