南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-28-独居や高齢世帯の患者も多いため,退院後きちんと服薬出来ず,飲み忘れや自己中断しているケースもある。また,自己管理できるかどうかは看護師の主観により判断されており,自己管理移行後も服薬確認ができておらず,処方切れの日に確認すると残薬が合っていないことがある。 そこで,65歳以上の慢性心疾患患者に対して,服薬管理能力を判定し,服薬理解能力評価スケール(以下,RCS)を用いて患者の状態に合った服薬方法を選択し,服薬自己管理にむけた介入を行ったので報告する。Ⅱ.研究方法1. 調査期間:平成25年2月~6月2. 対 象 者: 当病棟にて慢性心疾患で入院した認知症のない65歳以上の患者3. 調査方法 ①服薬能力判定試験(J-RACT)を行い聴力・視力・作業能力の判定を行う。 「私の言っていることが聞こえますか」「薬の袋の文字を全て読むことが出来ますか」の問いに,はい・いいえで答えてもらい聴力・視力について判定する。また,作業能力の評価としてOKサインを作ってもらいOKサインが出来るか,出来ないか判定し薬が開封出来るかを調べた。 ②RCSを行い内服管理方法を選択する。 服薬能力の評価は,(図1)に示すRCS質問紙に沿って朝食後,朝・夕食後などの薬袋を準備し質問に答えてもらい10点満点(最低-10点)で点数化した。10点は自己管理,9~8点は薬袋で自己管理し,毎食後服薬出来ているか確認,7~6点は1日配薬し毎食後服薬出来ているか確認,5点以下は看護師にて1回配薬とし,内服管理方法を選択した1)。 ③3日ごとに能力判定の評価を行い,内服管理方法を検討した。 ④対象者に服用後の空シートを残してもらい,残薬の有無をチェックした2)。 ⑤自己管理可能と判断された場合は,薬剤師に服薬指導を依頼した。4.用語の定義 1回配薬:与薬車に保管し1回ずつ看護師が配薬。 1日配薬:朝・昼・夕の3個のカップをセットしたボックスに看護師が準備し,深夜でボックスごと渡す。1日配薬する場合,前日にボックスの説明を行い,朝・昼・夕それぞれのカップから自分で取って内服するように説明しておく。5.倫理的配慮 研究対象者より得られた情報は研究以外の目的で使用しないことを書面にて説明し同意を得た。Ⅲ.結 果 分析可能なデータは,男性11名・女性3名(平均年齢74歳)から得られた(表1)。今回,RCSを3回行うことができた3症例の概要を以下に示す。1 .J氏;74歳,女性。(病名;心不全,入院期間;12日) 1回目のRCSは10点であったが,入院前に自己中断歴があったため,1日配薬から開始とした。2回目のRCSは10点であり,自己管理とした。3回目のRCSも10点で飲み忘れ,飲み残しは無かった。薬の内容は理解していなかったが,個数
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