南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-22-射することとなる。また,男女ともにBMIが大きくなるとともにESDが高くなっていることからも体型が影響していると考えられる。b)システム感度(S値) (図2)における女性の分布は男性に比べてばらつきが大きく,以下の2つのグループに大別できる。すなわち,男性と同じ傾向のESD群(0.148[mGy]~1.457[mGy])を1群,より高い分布を示すESD群(0.638[mGy]~2.615[mGy])を2群とする。これらは同じBMIであってもESDが大きく異なっていたため,それぞれの画質にどのように影響しているのかS値を用いて検討した。 当院で使用しているFCR(Fuji Com-puted Radiography)システムでは撮影コンソールのシステム感度としてS値が自動算出されている。これは撮影管電圧やポジショニングによって変動するため,入射線量そのものを示すものではないが,臨床現場において,入射した線量の目安として用いられている 。S値が大きい値を示すほど画質の粒状性は悪くなり,読影に適さない画像となる。現在使用している撮影システムにおいては胸部単純X線撮影でのS値は115~220が推奨されている。S値とBMIの関係について(図3)に示す。 男性のS値は350~600付近に主に分布し,少数は150~200の付近にも存在していた。女性は120~300付近に主に分布していた。ここで前述した女性の1群と2群を比較すると,2群は1群よりもESDが大きくなっていたが,S値では1群と大差ない結果となった。また(図2,3)より男女を比較してみるとESDの平均は女性の方が高かったにもかかわらずS値は男性の方が高く表れていた。 S値はX線量に依存しているため実際の撮影に用いる線量に関して考える必要がある。撮影時管電圧,管電流,焦点-皮膚間距離は120[kV],160[mA],200[cm]と一定であるので,適正な撮影時間を決定する自動露出機構についてまず考察する。(図3) S値とBMIの関係 1001502002503003504004505005506001020304050S値BMI女性1群女性2群男性図3. S値とBMIの関係

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