南予医学雑誌 第15巻
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兵頭、他:胸部X線撮影条件の検討南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-21-(図2) ESDとBMIの関係 00.511.522.531020304050ESD[mGy]BMI女性男性図2. ESDとBMIの関係 といえる。2)胸部単純X線撮影条件 a)ESDとBMI (表1)の校正結果より120[kV]のC(kV)は1993[mGy/mAs]となった。この値を用いてSESD-10の算出した院内健診の胸部単純X線撮影でのESD値とBMIの関係を(図2)に示す。 まず,男性の場合ではBMIは18~46に分布,平均は24となり,平均線量は0.348[mGy]であった。女性の場合ではBMIは14~50に分布,平均は22となり,平均線量は0.360[mGy]であった。 現在,胸部正面単純X線撮影に対しての医療被ばくガイドラインは,日本放射線技師会の放射線診療における低減目標値(0.3[mGy])と,IAEA(International Atomic Energy Agency)ガイダンスレベル(0.4[mGy])が存在する 。より厳しい条件である日本放射線技師会の基準と比較すると,低減目標値である0.3[mGy]を満たさなかった割合は,男性が47[%],女性が34[%],全体では37[%]となった。 院内健診のESDについて,低減目標値を満たさなかった割合が男性で高かったことは,男女の体型の差が影響していると考える。当院では男女とも同一の条件で撮影を行っているが,男性の方が女性より被写体厚が厚い傾向にある。撮影に用いるX線は連続スペクトルであり,発生するX線のエネルギーにはばらつきがある。被写体厚が厚いとX線の低エネルギー成分は被写体を通過する過程で全エネルギーを吸収され被写体を透過できない。高エネルギー成分はエネルギーを損失しながら被写体を透過しX線像を形成する。結果として線質の硬いX線しか被写体を透過しなくなる。写真として表れるX線量を等しくした場合,体厚のある方がより多くX線を発生させなければならない。よって撮影管電圧,撮影管電流を統一している場合,長い時間X線を照

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