南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-20-成分X線によって発生する散乱線は,高エネルギーの散乱線となり検出器まで到達するものが増えるためであるといえる。 校正前のC(kV)をβ,校正後のC(kV)をαとし,2値の差および校正前との変化の割合を比較した(表2)。すべての管電圧条件において,校正前より校正後の方がC(kV)の値は大きくなっており,管電圧が大きくなるにつれてその差(α-β)は大きくなっていた。変化の割合(α-β)/βで見ると低電圧付近と110[kV]~130[kV]付近でわずかに上昇していた。60[kV]以下の低電圧付近ではC(kV)の値が小さいため,2値の差がそれほど大きくなくとも値に占める割合が大きくなったと考えられる。110[kV]~130[kV]でわずかに上昇をみせたが,この管電圧域は撮影での使用頻度が高く,測定した実測値も安定した値を示していた。しかし,140[kV],150[kV]の付近での撮影は臨床ではほとんど使用されず,撮影装置の限界付近であるため,出力が他と比較して不安定であること,また線量計を用いて測定した3回の実測値でも,他の撮影条件と比較してばらつきが大きくなっていたため,得られた値が管電圧に対して発生する線量よりも小さくなったと推測される。加えて測定される値が大きいことも影響していると考えられる。よって通常の撮影に用いるのは130[kV]付近までが好ましい。 校正後のC(kV)を用いて人体ファントムの撮影を行い,実測されたESDの比較を行った。このときの撮影条件は,胸部では管電圧120[kV],管電流160[mA],撮影時間0.036secとなり,腹部では管電圧80[kV],管電流200[mA],撮影時間0.152secであった。ESDは,胸部では計算値が367 [μGy],実測値が365 [μGy]となり,腹部では計算値が1738[μGy],実測値が1770[μGy]となった。 ESDの実測値と計算値との誤差率は,胸部で0.6[%],腹部で1.8[%]となった。島津製作所の示す許容値は20%以下とあるので,今回校正したC(kV)の値は適当である(表2) C(kV)校正前後の比較撮影管電圧[kV]校正後C(kV)α[mGy/mAs]校正前C(kV)β[mGy/mAs]α-β[mGy/mAs]α-β×100(%)β     401781572113503513252686051547936870710683274809158942129011481127212100139413534131101690159793612019931862131713022822116166814025802451129515027952713823

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