南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-18-撮影条件を設定できるなどのメリットがある。今回,胸部単純X線撮影のESDを算出し,日本放射線技師会の医療被ばく低減目標値との比較を行った。対象および方法1)使用機器  診断用X線高電圧装置UD150B-40  (島津製作所)  半導体線量計 Unfors Xi (Unfors)  アクリルファントム  人体ファントム 2)SESD-10の校正方法 縦×横が20㎝×20㎝以上となる厚さ19㎝のアクリルファントムを用意し,アクリルファントム表面-管球間距離を100㎝になるように設置した。アクリルファントム表面に反映される光照射野が20㎝×20㎝となるよう照射野を絞り,照射野の中心に島津製作所より借用した校正用線量計の検出部を固定し,それぞれの条件ごとに3回ずつ計測した。3つの値から得られる平均実測値をD[μGy]とする。今回用いた校正用線量計は半導体線量計のため,後方散乱の影響を受けない。このため島津の推奨する後方散乱係数(BSFkV)を用いた。後方散乱を加味したESD計算値[μGy]を式①に示す。           D[μGy] ESD計算値[μGy] = BSF(kV) ……① SESD-10で行われる線量推定では,管電流撮影時間積,SSD,管電圧,ターゲット材質,総ろ過,付加フィルタ,リプル率などを考慮し,以下の式が用いられる1) 。C(kV):システム固有の補正係数[mGy/mAs]mAs:管電流撮影時間積[mAs]SSD:焦点-皮膚間距離[m]        C[kV]      1 ESD[mGy] = 10000 × mAs × SSD2 ……② 今回は,撮影に使用する放射線の線質等に依存する固有係数C[kV]についての校正を行った。撮影条件は,管電圧を40kVから150kVまで10kVずつ変化させ,管電流,撮影時間はそれぞれ200mA,100msecで固定した。このとき,式②は以下の通りとなる。        C[kV]      1 ESD[mGy] = 10000 × 20 × (1)2 ……②’ C(kV)を求めるため,ESD計算値[μGy]を用いる。このときの式②’に式①を代入しC(kV)を求めた。これを式③に示す。     ESD計算値[μGy] = D[μGy] C(kV) =    2     2×BSF(kV) ……③ また,校正したC(kV)値を装置に入力し,今回測定したC(kV)値が適当であるかを確認した。3)胸部単純X線の撮影条件 校正したC(kV)を用いて2013年職員健診の胸部単純X線撮影におけるESD値を算出した。対象は男性121人,女性503人であり,撮影室1~4の4カ所で撮影した。撮影条件は管電圧120kV,管電流160mAとし,画像の濃度レベル(Density)を-3とした。このときDensityの標準値は115%であり,レベルを1下げるごとに画像の濃度は15%薄くなる。算出したESD値を,対象者の性別,BMI,システム感度(S値),撮影室の差などの要素を加味して分析検討した。

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