南予医学雑誌 第15巻
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市川:なんよだより南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-123-来るどうかにかかっている。 その他,独立行政法人,指定管理者制度,民間移譲の道を選んだ病院もある。現在の国の財政状況をみると今後診療報酬の改訂で大幅なプラス改訂は見込めず,新たに算定項目ができたり,点数加算が行われても,算定条件の厳格化が予想され,人員・機器等を基準通り整えられない地方の病院では増収は期待できないばかりか,これまで算定出来ていたものも算定出来ないようになる可能性さえある。そのため,従来のように診療報酬点数から今後の病院財政計画をたてることでは病院運営は困難であると思われる。 たとえば,2014年4月の診療報酬改定は事実上マイナス改定となった。同時に消費税が8%に増税となったが,診療報酬は課税対象外である。一方,診療に必要なもの(材料・薬品・医療機器・委託人件費等)は増税となった。そのため,病院は収入が減少したのに支出は増加する結果になった。おわりに 南予地域で地域住民が安心して暮らすために必要とされる医療を,公正・公平に提供する公立病院は必要であると考えるが,今の環境は“Yes, we can.”と言える状況にはない。我々は,先人が苦労してこれまで受け継いできた歴史に思いを巡らせ,当分続く高齢者の多いこの地域で適切な医療を行うために,地域住民の理解を得たうえで可能な範囲で環境整備,改革を行いながら,職員自身がコミットする病院にしていかなければならいと考える。

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