南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-117-受稿日 平成26年10月7日受理日 平成26年10月7日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 宇和島市病院局 市川 幹郎 病院運営に思う 市 川  幹 郎 宇和島市病院事業管理者   なんよだよりはじめに 地方で病院を運営する環境は,財政面に止まらず,職員の確保及び教育,医療資源の確保と計画医療の推進,患者・家族に病院の現状を理解していただくための意識改革が求められる等多くの問題を抱えて年々厳しくなっている。 一方で,公立病院のあり方そのものが議論され,その存在意義が問われている。そもそも,公立病院の役割は,あらゆる条件を超えて「地域で医療を行うことによって住民の健康を守り,福祉の向上に貢献する事で地域に暮らす住民の安全と安心を保証すること」を目的としてきた。このことは必然的に,時に採算を度外視した医療が求められ,「公立病院は,民間病院では出来ない不採算部門を担うのが務めである」という概念が広く認知された時代が続いた。 特に第2次世界大戦後,回復が極めて困難なまでに荒廃した日本の国土復興のためには健康な国民の力が必要であり,国は公立病院に多額の援助を行うことで国民の健康管理を地方に委ねてきた。さらに,国家の存続基盤は国民一人ひとりにあるという国民主権の考え方と,国民はすべての権利を平等に有することが保障され,憲法でも「生存権,国の生存権保障義務」を謳った第25条2項で「国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記された。これを受けて,国民健康保険法,医療法等多くの医療・福祉関連法律が制定された結果,公立病院が多数開設されたり,経営形態が公立に移管された病院も多い。 さらに,世界に類をみないと言われる国民皆保険制度が1961年4月に制定され,日本国民は全国どこでも平等に医療を受けることが出来るようになった。もとより保険制度には相互扶助の概念があり,日本最初の保険制度として1938年の越ケ谷順正会の

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