南予医学雑誌 第15巻
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岩村:なんよだより南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-111-については,学生から指摘のあった「アピールが足りない」部分に即効性があると感じました。「1.」の研修医のプログラムについても,ある程度の自由度は必要ですが,自由すぎるといい加減なプログラムになりかねません。1年次研修医のニーズに応え,かつ最低限必要なポイントを把握しているのは誰か…新2年次研修医が最善かと思います。実に合理的な考え方を徳島赤十字病院は持っておりました。公用車日帰りの強行スケジュールで行った視察でしたが,当院の臨床研修の骨組み形成の大きな要素となったと,今は感じております。 おまけのエピソードとして,恥ずかしい話ですが,募集要項や研修プログラム等,臨床研修病院として当たり前にある資料を当院ではこれまで「作成していない」ことにこの視察で気がつき,早速作成した次第です。■初めてのマッチング 他病院から吸収することも必要でしたが,当院において最大の課題は減ってしまった研修医を回復させることでした。しかし,設立年度において私達がアピールできるものは何もなく,ただひたすら当院の研修を望む学生が多くいてくれることを祈るばかりでした。 祈りは通じるのか,クリニカルクラークシップで2週間実習を行った方々から2名,病院見学で当院に魅力を感じてくれた2名が採用試験に臨んでいただきました。研修医のマッチングの場合,採用試験を受けても受験者が複数の病院の採用試験を受け,当院を1番に希望しなければ,別の病院に研修先が決まってしまいます。当時4名の定員に対して4名の受験者であったため,誰か一人でも当院以外の研修先を望めばフルマッチには至りません。フルマッチに至るか至らないかの点は,臨床研修病院のイメージに関わる重要な要素でありましたので,全員が1位指名してくれることを祈りつつ,受験者全員に時折メールを送っておりました。 マッチング発表の当日,結果はインターネットで14時に公表されるため,PCのモニタの前でひたすら時間を待ちました。14時を迎え,ページを開いたところ結果は4名マッチでフルマッチ。濱田さんと跳ね上がって握手を交わして喜びを分かち合いました。■新プログラムの誕生 こうして4名の研修医を迎えるにあたり,周辺の環境整備は他病院事例を参考に整えることが出来ますが,研修プログラムの骨子である「研修テーマ」については,我々事務方ではどう努力しても思いつかないものでした。しかしありがたいことに,当時研修プログラム委員長であった濱田御大,そして当時は副委員長であり,現在濱田御大の後継者として委員長であり,臨床研修管理部長という大役を担っている金子先生のお二人は臨床研修に並々ならぬ情熱を持っており,我々の手が届かない部分に簡単に到達し,事務局を牽引してくれました。 金子先生は時間を見つけては,研修医と意見交換をすることで先生方が何を望んでいるかイメージしていたようです。設立年度の途中で,新プログラムについて提案をいただきました。それが「ジェネラリストを育てる」という現在のテーマです。 当時はその言葉の意味すら分かりませんでしたが,金子先生からテーマを与えられ

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