南予医学雑誌 第15巻
111/132

岩村:なんよだより南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-109-さんにフォローされながら細かく教えていただき,かつ兼務の私に代わり濱田さんが,看護師長だった頃のプライドをかなぐり捨て,事務職員として雑多なことから大きな事まで担っていただいたので,私としては実務面では大きな負荷は増えませんでした。そこで,臨床研修係の大きな業務の一つとして,見学,またクリニカルクラークシップ(医学生の臨床参加型実習)で来院される医学生に対し,いかに当院をアピールするか,そのニーズにいかに応えるか,この点をゼロから作っていく事から始めました。 見学者に対する説明については,当院での研修概要を熟知されている梅崎さんにお願いして,私と濱田さんは見学後の印象をいかに学生から引き出し,改善に結びつけるかに全力を注ぎました。 そこで見学に来られた学生さん達には毎回「この病院は今年度初めて専門の係を設置して,研修医が望む研修環境は何か,学生実習に何が求められるかを作っていこうとしています。感想をおっしゃっていただく際できるだけ「だめ出し」をして下さい。それが我々の成長につながるので。」とお願いをしました。また感想を聞く時は,案内役の医師は同席いただかず,滞在期間中何を食べたとか,お城山は登ったか等雑多な話から始めて,リラックスした状態で当院に足りない部分は何か,様々な意見をいただきました。当時出た要望,課題は主に以下の通りです。1 .ホテルが遠い。女子学生が当直見学の際深夜になることもあるので,近距離がありがたい。2 .近くにコンビニがない(朝食が食べられない)。3.院内が迷いやすい。4.電子カルテのIDが欲しい。5 .空いた時間,勉強が出来る環境(インターネット)がない。6 .臨床の経験が多く積める良い病院なのに,その実態をほとんどの学生が知らない。まず見てもらわないと学生はこの病院を選ばないと思う。アピールをもっとしないともったいない。7.もっと実践をさせて欲しい。 列記しますと「勝手なことばかり!」と思われる方もおられるかもしれませんが,私達にとっては最善の材料となりました。特に「6.」のアピール不足の意見につきましては,研修医の減少原因の一つであったと言えると思います。「1.」~「5.」の物理的な課題は対応に支障はありませんでした。例えばホテルは宿泊料に上限があったため,病院の近くのホテルとの交渉によりある程度の利用が見込めると伝えた上で,朝食付きで価格を限度額内に割り引いていただき新たな宿泊先としました。ただし「6.」,「7.」の問題については至急の対応が難しく,臨床研修係の最初の課題となりました。 また,応えるべきニーズは医学生のみならず,当然研修医のニーズを最優先とすべきですが,設立当初は先生方が研修に何を望み,我々事務方で出来ることは何かが分かりませんでした。内々で考えていてもらちが明かんと言うことで,設立年度の5月,標準的な臨床研修環境を実際見てみようと,愛媛大学医学部臨床研修センターに事務局で視察に行きました。 センター事務局の方にお話を伺い,更にセンター長の高田教授からもレクチャーをいただきました。研修プログラムを研修医

元のページ  ../index.html#111

このブックを見る