南予医学雑誌 第15巻
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南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-102- 36年間,病気で診療を休んだことが一日もなかった。疲れては眠いといってどこでも寝るので妻はあきれているが,何といってもこれが一番の健康法と思っていた。長距離のドライブも仮眠をとればなんともない。1年ちょっと前にプリウスを買い替えたがすでに4万キロを超えた。前のプリウスは7年で23万キロ走った。8年前に北宇和病院に赴任したが,院長室でいつでも眠れるのがありがたかった。 ところが,昨年の9月に良性発作性頭位めまい症で10日ほど入院し,約1か月病院を休んだ。シンポジウムの司会をする当日の早朝に突然めまいと吐き気を起こし,車いすに乗って自院に入院,2日後に市立宇和島病院にお世話になった。初めは脳腫瘍になったのではないかと弱気だったが,検査も何の異常もなく治療も寝ているだけ受稿日 平成26年5月7日受理日 平成26年5月7日連絡先 〒798-1392     愛媛県北宇和郡鬼北町大字近永455番地1 鬼北町立北宇和病院院長 岡部 健一だった。お見舞い客の中に同じ病気を経験している人が何人もいて,ありふれた病気であることが分かり,同好会をつくろうかと思ったほどである。復帰してからはめまいの患者さんにはずいぶん親切になった。(妻はあまり親切にはならなかった。) 入院中に気になっていた耳鳴りを検査してもらったが「年齢相応の感音性難聴」があるとのこと。また,長いこと寝ていたので腰痛がおこり,めまいもうつむくとひどくなるので,お辞儀がしにくくなったままである。院長らしく反り返っていればいいというわけにもいかない。ただ,運転の姿勢は大丈夫でほんとうに助かっている。 平衡神経とは非常に微妙にできているそうで,字を書くことにも影響する。もともと下手な字をカルテに書いていては「急ぐからへたくそになるのだ。」と言っていたのが,ゆっくり書いてもひどくなってしまった。ゴルフのパットもうつむいてはくらくらし,長尺に変えてみたがあまり効果がない。もちろん,スイングにも影響してブービーかメーカーをいただく羽目になった。しかし,めまいのリハビリになると 年老いたスーパーマン医師と認知症 岡 部 健 一 鬼北町立北宇和病院院長   なんよだより

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