南予医学雑誌 第15巻
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中村:ストーマ外来の有用性南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-101-安から,患者は外出すらできない状態になる。ストーマ外来を開設している病院は南予地区では当院だけであり,数年来,安定しない装具を使用し続けたり糜爛が生じたりしたまま市販の薬を使用し続けていた患者もおり,ストーマ外来で対処,解決してきた。 今回の2症例とも,専門性に特化した皮膚・排泄ケア認定看護師の判断が必要であったと考える。1症例目の患者は,退院後に変化した腹壁に対して困惑していたが,晩期合併症であることなど説明を行ったところ,納得され状態悪化で入院されるまで妻のケアで問題なく経過された。入院中に病棟スタッフがセルフケアを十分指導していたことで,手技は問題なかったが,退院後,発症するかもしれない合併症に対しての指導は不十分であったため,不安を生じた。今後の指導内容を考慮する必要がある。 2症例目の患者は日常生活レベルC2で無動状態であるため,施設スタッフが全面的なケアを行っていた。管理困難なストーマで,装具のみの交換ではなく,用手形成皮膚保護材を腹壁やストーマの形状に合わせなければならないため,施設スタッフは苦慮していた。しかし,勉強会とストーマ外来での指導を重ねていくと,自分達で判断できるようになった。経験不足という先入観から,関与することで症状を悪化させるのではと疑心を抱いていたが,指導により問題なく管理できるということがわかった。 2011年,厚生労働省が介護ヘルパーによる装具交換を許可したため1),今後は介護老人施設への転出や,訪問看護施設を利用する患者数が増加することが予測される。時には,ストーマ自体を見たことのない介護ヘルパーに処置をされることもあるかもしれない。在宅や介護施設でも問題なく処置を行えるよう,教育活動やストーマ外来の広報活動を行っていかなければならない。結   語 ストーマ造設患者は減少すると言われながら,南予地区での人工肛門造設術施行数に変化はない。管理困難なストーマの指導や施設スタッフの教育を行うことで患者が自宅で生活を送れるように,今後もストーマ外来で援助していきたいと考えている。引用文献1)  厚生労働省ホームページ:   www:mhlw.go.jp(2011/6/5)   Signicance of outpatient stoma care for osto-mates with complicationsKumi NAKAMURADepartment of NursingUwajima City HospitalGoten-machi, Uwajima, Ehime 798-8510, JAPAN(Nan-yo Med J 2014; 15: 97-101.)

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