南予医学雑誌 第15巻
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中村:ストーマ外来の有用性南予医誌 Vol.15 No. 1 2014-99-装具と練り状皮膚保護材を使用していた(図3)。退院後は施設に転出するため,施設職員へストーマ装具の交換方法と装具やアクセサリーの特徴を説明した。 退院後:腸管の拡張が軽減するとストーマは腹壁内に陥没し,正中瘢痕創から1㎝の位置であった(図4)。安定した装具装着を行うためには,ストーマ近接部から約3㎝は腹壁に異常がないことが求められる。陥没ストーマと近接して正中瘢痕創があることで装具は安定せず,管理困難に陥った。退院後も何度も皮膚トラブルや便漏れをきたしたため,施設職員同行のうえストーマ外来で指導を行った。  しかし,それだけでは施設職員全員の統一した管理は不可能であったため,施設へ出向いて講義も行った。その結果,当初は困惑していたスタッフも徐々に工夫するようになり,病状が悪化し当院へ転院するまで適切な管理を行うことができた。 その後,イレウスを繰り返して201X+1年6月,呼吸症状悪化により昇天された。考   察 人工肛門の管理方法は,手術内容・造設部位・患者の受け入れ・理解度・キーパーソンの有無・家庭環境などの様々な要因により変化する。本来は患者自身のセルフケアを確立できるように入院中に指導を行っているが,患者の高齢化により家族がケアをする場合もある。しかし,核家族化によりキーパーソンが不在という環境的側面もあり,ストーマ管理が困難となるケースも多く問題となっている。 さらに,管理困難な合併症を併発すると,いつ装具がはがれるかもしれないという不(図2) 症例1ストーマ外来で撮影(座位)上腹部からみたストーマ:ストーマ自体も突出している。

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