南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-94-【だし用煮干,花かつお】 宇和海や長崎県で捕れた魚を原料に作られた煮干と花かつおでだしをとっている。料理の基本はだしである。特に塩分制限の食事作りには重要である。薄味でも美味しい料理に良いだしは欠かせない。味噌汁や麺類の評判がいいのも天然のだしを使用しているからであると思う。また,当院では化学調味料は使用していない。 このような,評判の良い献立や食材は患者様の栄養管理にも欠かすことは出来ない。患者様は昔から食べ慣れた地域の味を美味しく感じるものである。特に散らし寿司やさつま汁など,ご飯に味が付いたり,ご飯にかけて食べたりする丼物は食欲のない患者様からたいへん喜ばれている。特にがんや血液疾患で化学療法を施行する際には,体重を落とさないことがQOLを維持するエビデンスとして証明されており,食事の工夫が必須である。 また,患者様は食材や栄養素の説明を記したメッセージカード(図3)を添えることで,食欲が無いときでも食べる努力をしてくださる。その効果が徐々に現れ,添付したカードや食札に感謝の言葉などを記入して届けてくださることが多くなり,昨年は900枚を越えた。 患者様からのメッセージ数の変化をグラフにした(図4, 5, 6)。平成24年度は前年の2倍ものメッセージ数となっており,お礼やお褒めの言葉が増加している。このような現象は食養科職員の仕事の励みやモチベーションのアップにもつながっており,患者様から仕事の方向性についてヒントをいただいていると実感している。いただいたメッセージの一部を表にまとめた(表1)。るので,また出して欲しいとリクエストの多い献立でもある。  このような魚料理は,「ふぐ取扱者」免許を持つ6名のベテラン調理師が担当している。手際の良い作業で,3時間もあれば調理師一人で200人分の鰹のたたきやさつま汁が出来上がる。 【麦ご飯】 週に2回麦ご飯の日を設けている。1割の裸麦を米に混ぜて炊いている。食物繊維の量も増え,患者様からは「昔を思い出して懐かしい味」とのご意見も頂いている。 近年の欧米化された食生活では食物繊維の摂取が低下しており,糖尿病や脂質異常症増加の一因ともなっている。愛媛の特産品である裸麦をもっと活用して生活習慣病の予防をはかることが望まれる。【晩柑類:はれひめ・きよみ・はるかなど】 晩柑類の名前はかわいい女性の名前がつけられていることが多い。柑橘類に含まれるβ-クリプトキサンチンは動脈硬化,骨粗鬆症の予防などの効果もあり,メッセージカードでそれらの効果をお知らせしている。【手作りプリン】 生クリームを使用していない脂質含量の少ないプリンを提供している。愛媛産の牛乳と卵,砂糖で作っている。味をアレンジすることでバレンタインデーのチョコの代わりに使用し,材料費削減にも効果を発揮している。患者様にも市販のプリンより美味しいと好評である。 

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