南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-92- 市立宇和島病院は435床の急性期総合病院である。宇和島市は人口8万3千人ほどの地方都市で,海と山に囲まれ,美味しい食材に恵まれている。海の幸は宇和海で捕れる魚に加えて,はまちや鯛の生産日本一の養殖漁業が支えている。また,山の幸では晩柑類の生産が日本一を誇っており,30種類以上の品種の生産がある。他,裸麦,キウイフルーツも愛媛県が日本一の生産量となっている。当院ではこのような食材を使用して患者様の食事作りに生かし,地産地消を行うと同時に患者満足度の高い直営での食事作りをしている。 具体的にいくつかの献立を紹介する(図1,2)。 【じゃこ天・じゃこ天入り散らし寿司】 じゃこ天は魚のすり身を油で揚げた練り製品である。当日に業者が製造したものを早朝6時に納入し,大根おろしを添えて朝食に提供している。また,これを具に使用した散らし寿司は喫食率が高い献立である。 地域に根ざした病院食の提供から思うこと 藤 井 文 子 市立宇和島病院 食養科【鰹のたたき】 鰹と言えば高知県のイメージが強いと思うが,四国一の水揚げを誇るのは当市のお隣の愛媛県愛南町であることは意外に知られていない。愛南町で捕れた鰹を市内の鮮魚店から仕入れて,当院の調理師が鰹のたたきを作っている。当院秘伝のたれの配合割合を記載したレシピはメッセージカードとして食事に添えている。当院の鰹のたたきとたれは市内どの料理店のものより美味しいと自負している。【ふかの湯ざらし】 ふかとは,いわゆる鮫(サメ)だが,当地方では祭りなどのお祝い事で食べる習慣がある。ふかも市内の鮮魚店からまるごと仕入れ,湯ざらしを手作りしている。また,み辛し味噌も手作りして添えている。【さつま汁】 鯵や鯛を焼いて身をほぐし,すり鉢ですって味噌で味付けする郷土料理である。味噌を溶くだしは身をとった後の魚の骨を焼いて煮出している。ご飯にかけて食べるので,食欲が低下したがんの患者様にも食べやすいと好評である。また,手が込んだ料理であり,最近家庭では作られなくなりつつあ受稿日 平成25年4月22日受理日 平成25年4月22日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 食養科 藤井 文子

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