南予医学雑誌 第14巻
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南予医誌 Vol.14 No. 1 2013-90-力の向上にも力を入れています。 しかし,地域連携室にはまだまだ課題があります。一つはがん地域連携パスで,もう一つは退院支援計画書の記入ができていないことです。がん地域連携パスは,徐々に体制を整えていますが,今までに4件,2013年度は1件と浸透しているとは言えない状況です。退院支援計画書の記入とは,入院後一週間以内に退院支援の必要な人を評価し,退院支援計画書を記入して退院支援を行うというものです。退院調整加算が算定できると,14日以内なら340点,30日以内なら150点,31日以上では50点の加算が可能です。しかし診療報酬のためだけでなく,計画的退院支援には皆が共有できるプランが重要と考えます。他院には算定している所もありますが,評価や実践的計画が立てられる人材が必要なため,当院の現状では難しく,来年以降の課題と考えています。更に,地域への啓蒙も大切な仕事の一つで,毎年5月には診療表などを地域の病院へ300通あまり配布していますが,地域連携室便りなど当院の情報紙の作成はできていません。 そして,院長の目指す地域医療支援病院の認定です。そのためには,紹介率60%,逆紹介率30%以上(または紹介率40%,逆紹介率60%)を達成する必要がありますが,現状はそれぞれ30%台,10%台と低迷しています。また,この認定基準を満たすとなると外来患者数は減り外来診療の負担は減りますが,複数の合併症をかかえた高齢患者を多数他院へ逆紹介するには,院内はもちろん他院の理解を得る必要性があります。従って患者・地域教育まで必要となり,時間のかかることだと思っています。 さて,「医療福祉相談支援センターには,どのような相談があるのだろう?」と関心のある方もおられると思いますので,少し触れたいと思います。転院転所、在宅ケアの支援は皆さんご承知のように退院調整として行っていますので,ここでは省きます。図1をご参照ください。社会福祉士と看護師への相談に差があるのが解ります。看護師には受診科や治療・検査,看護など医療・看護知識へのニーズがあり,社会福祉士には転院・在宅ケア・医療費など福祉の知識へのニーズが高く,職能特性を踏まえての相談依頼となっています。双方の相談件数はH24年度8451件で臨床心理士も毎年800件ほどの相談対応をしており,年間9200件あまりの相談対応をしています。 看護師への相談でまず多いのが,先程述べた受診科や治療・検査の相談です。受診科相談の中には「どこに行っても治らない。何科に行けばいいか」「親が認知症で介護しているが,最近お腹が張ってきた。暴れるかもしれないがどうしたら受診できるか」など様々な問題を含むものもあります。治療や検査の相談では「レーザー手術をそこでできるか,その検査は痛くないか,手術や治療をしたらもっと悪くならないか」など患者の不安を切実に感じる内容です。また「主治医をかえたい,セカンドオピニオンに行きたい,告知してほしくない,先生とゆっくり話したい,この検査・薬について教えて欲しい」など,ゆっくり主治医等と自分の治療について話を聴いてほしい患者の気持ちが表れ,個々に話を聴く必要性を痛いほど感じます。 次に多いのが医療費,そして心理的問題で,その中には家族間の問題や社会的状況

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